2015 Fiscal Year Annual Research Report
先天性免疫不全症由来iPS細胞を用いた新規免疫系細胞分化因子の同定
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26293250
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Research Institution | National Defense Medical College |
Principal Investigator |
野々山 恵章 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, その他部局等, 教授 (40280961)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今井 耕輔 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (90332626)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 免疫学 / 発生・分化 / 移植・再生医療 / 細胞・組織 / 遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は以下の研究実績をあげた。 A)先天性免疫不全症患者由来iPS細胞を、細網異形成症、GATA2欠損症、Wiskott-Aldrich症候群で樹立した。 B) iPS細胞から、造血幹細胞、血液免疫系細胞への分化系を確立した。 C) 確立したiPS細胞からの分化系を用い、細網異形成症は造血幹細胞での代謝障害があること、GATA2欠損症ではiPS細胞から造血幹細胞への分化障害があること、Wiskott-Aldrich症候群ではiPS細胞から血小板への分化障害があることを示した。 D)ヒトGATA2欠損症由来iPS細胞の遺伝子変異を、TALENのシステムを用いたゲノム編集により修復ことができた。ゲノム編集で変異を正常化したiPS細胞からの造血幹細胞への分化が正常化することを示した。 以上の実績をもとに、RNA sequenceを用いて疾患iPS細胞からの分化障害に関わる分化因子を同定する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
先天性免疫不全症患者由来iPS細胞を、細網異形成症、GATA2欠損症、Wiskott-Aldrich症候群で樹立することができた。 ヒトiPS細胞から造血幹細胞および血液免疫系細胞への分化系を確立した。iPS細胞から造血幹細胞への分化は、10T1/2フィーダー細胞とVEGFを用いる確立した方法で行った。造血幹細胞からT細胞への分化は、10T1/2とOP9フィーダー細胞とサイトカインカクテルと培養する方法で行った。CD8 single positive T細胞へは、さらにallo抗原を発現した細胞と共培養することで得た。樹状細胞には, SCF, FL3, M-CSF, TPOなどを加えた培養に続き、GM-CSF, TNF-α, LPSなどを加えた培養を行って分化させた。好中球には、SCF, IL-3, TPO, FL3等を加えた培養により分化させた。巨核球、血小板は、TPO, SCFなどを加えて培養することで分化させた。 細網異形成症はメチローム解析により造血幹細胞での代謝障害があること、GATA2欠損症ではiPS細胞から造血幹細胞への分化障害があること、Wiskott-Aldrich症候群ではiPS細胞から血小板への分化障害があることを示した。 ヒトGATA2欠損症由来iPS細胞の遺伝子変異を、TALENのシステムを用いたゲノム編集により修復ことができた。ゲノム編集で変異を正常化したiPS細胞からの造血幹細胞への分化が正常化することを示した。 以上、今年度まで充分目標を達成することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、以下の研究を推進する。 1) GATA2欠損症における分化因子の同定:GATA2欠損症では、樹状細胞であるmDC, pDC共に完全欠損している。GATA2は転写因子であり、GATA2欠損により何らかの分化因子の発現が低下し、その結果、樹状細胞への分化が停止していると考えられる。そこで、GATA2欠損症由来iPS細胞を樹状細胞分化系を用い、得られた細胞群のRNA発現プロファイルを、健常人由来iPS細胞から分化させた樹状細胞、GATA2欠損iPS細胞をゲノム編集により正常させて分化させた細胞群と比較する。これによりGATA2欠損により発現しないRNAを同定し、樹状細胞への新規分化因子を同定する。また、iPS細胞から造血幹細胞への分化障害についても、同様の方法で研究を進め、iPS細胞から造血幹細胞への分化因子を同定する。 2) Wiskott-Aldrich症候群における分化因子の同定:Wiskott-Aldrich症候群(WAS)は、血小板が欠損している。WASでは巨核芽球コロニーが減少していること、最近WASの原因遺伝子WASPは転写因子である事が最近判明し、分化因子が発現せずに巨核球・血小板への分化が不良であると考えられる。WAS患者由来iPS細胞から分化させた巨核球のRNA sequenceを行い、発現プロファイルをWASP正常iPS細胞から分化させた巨核球と比較することにより、新規血小板分化因子を同定する。 3) Chediak-東症候群患者を新たに見出した。そこで、そのiPS細胞を樹立し、リンパ球への機能的分化障害を検討する。これにより、ウイルスの持続感染がなぜ起きるかについて、新規知見を得る。機能的成熟に必要な分化因子の同定も行う。
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Causes of Carryover |
購入予定額より安価で購入できたことによる差異である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究計画に合わせて消耗品を購入予定である。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] Hematopoietic Stem Cell Transplantation for X-Linked Thrombocytopenia With Mutations in the WAS gene.2015
Author(s)
Oshima K, Imai K, Albert M.H, Bittner T.C, Strauss G, Filipovich A.H, Morio T, Kapoor N, Dalal J, Schultz K.R, Casper J.T, Notarangelo L.D, Ochs H.D, Nonoyama S.
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Journal Title
J Clin Immunol
Volume: 35
Pages: 15-21
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Journal Article] RAG1 deficiency may present clinically as selective IgA deficiency.2015
Author(s)
Kato T, Crestani E, Kamae C, Honma K, Yokosuka T, Ikegawa T, Nishida N, Kanegane H, Wada T, Yachie A, Ohara O, Morio T, Notarangelo L.D, Imai K, Nonoyama S.
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Journal Title
J Clin Immunol
Volume: 35
Pages: 280-288
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research / Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] Activation-Induced Cytidine Deaminase Expression in Human B Cell Precursors Is Essential for Central B Cell Tolerance.2015
Author(s)
Cantaert T, Schickel JN, Bannock JM, Ng YS, Massad C, Oe T, Wu R, Lavoie A, Walter JE, Notarangelo LD, Al-Herz W, Kilic SS, Ochs HD, Nonoyama S, Durandy A, Meffre E.
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Journal Title
Immunity
Volume: 17; 43
Pages: 884-95
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research