2014 Fiscal Year Annual Research Report
デスモグレイン3特異的細胞性免疫が誘導する皮膚炎モデルの分子病態の解明
Project/Area Number |
26293258
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
高橋 勇人 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (40398615)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
天谷 雅行 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (90212563)
佐々木 貴史 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (70306843)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 免疫学 |
Outline of Annual Research Achievements |
Interface dermatitis(ID)は重症薬疹、扁平苔蘚、膠原病等で認められる病理学的変化であり、一部の疾患は致死的であるにもかかわらず、その病態の詳細な解析はなされていない。本研究計画では申請者らが独自に開発した実験的自己免疫性皮膚炎モデル(EADモデル)を用いて、IDの病態を明らかにすることを目的としている。EADモデルではDsg3特異的T細胞トランスジェニック(Dsg3H1)マウス由来のCD4+細胞(Dsg3H1細胞)をRag2-/-マウスに移入するとDsg3H1 T細胞が直接口蓋粘膜上皮に浸潤しIDが生じる。マウスの導入が前後し、来年度の予定としていたStat1-/-マウスとの交配が先に達成できたため、本年度はDsg3H1-Stat1-/-細胞を先に作成した。また、Dsg3H1-Stat1-/-細胞をRag2-/-マウスに移入したところ、IDは生じないことを明らかにした。この結果は、IDの病態において、Stat1が非常に重要な働きをしていることを意味する。一方、IFNg-R-/-マウスとRag2-/-マウスを交配しIFNgR-/-Rag2-/-マウスを作成し、これにDsg3H1T細胞を移入してEADを誘導したところ、著名な体重減少が生じ、T細胞由来のIFNg以外に、直接表皮を障害する物質の存在が示唆された。以上のようにIDの病態が除々に解明されつつある。 一方、IL-27とTGF-bにより分化させたCD4+T細胞を解析したところ、T細胞が代謝酵素Xを発現することがわかった。またその代謝産物は活性化したT細胞に細胞死を誘導することを示した。IL-27による免疫抑制効果が代謝酵素Xにより発揮されている可能性が示唆され、新たなヘルパーT細胞の機能の発見につながる重要なデータを得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マウスの交配については、本年度と来年度の研究計画が前後する部分もあったが、計画通りの実験を行うことができ、重要な分子の同定まで行えた。またT細胞における新たな代謝酵素Xの発現を同定し、in vitroにおける機能まで明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
大きな変更をせずに、計画通りに研究を遂行する予定である。とくに、マウス交配を的確に進め、目的とする実験が遂行するように配慮する。
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Causes of Carryover |
効率よく物品調達を行い、無駄を可能な限り排除した結果、未使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
発生した未使用額は本研究計画が効率良く遂行するように使用する。とくに実験に使用するマウスの飼育や交配に関わる経費として、使用することを計画している。
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