2017 Fiscal Year Annual Research Report
「心の理論」の脳基盤を介した自閉症の病態解明およびサルの自閉症モデル動物の作成
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26293261
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
染矢 俊幸 新潟大学, 医歯学系, 教授 (50187902)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 功 新潟大学, 医歯学系, 教授 (60282620)
飯島 淳彦 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (00377186)
川嵜 圭祐 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (60511178)
江川 純 新潟大学, 医歯学総合研究科, 特任准教授 (80648527)
北村 秀明 新潟大学, 医歯学総合研究科, 非常勤講師 (00361923)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 自閉スペクトラム症 / 心の理論 / 非言語的誤信念課題 |
Outline of Annual Research Achievements |
A.ヒトにおける非言語的誤信念課題中の脳活動および視線の同時計測:脳磁図計測に先行して脳磁図電流源推定のための位置決めMRI撮像(T1強調画像)が必要であるが、同時に拡散テンソル画像(DTI)の撮像を追加して自閉スペクトラム症(ASD)群33人、定型発達者(NT)群8名の撮像を行い、異方性比率(FA値)を算出した。その結果、NT群に比し、ASD群のFA値が左中小脳脚領域で増加(ASD: 0.213 7± 0.0213, NT: 0.1896 ± 0.0192)、視床-脳弓領域で減少していた(ASD: 0.3091 ± 0.0285, NT: 0.3528 ± 0.0328)。ASD群において自閉症スペクトラム指数(AQ)とFA値との相関を調べ、AQ下位項目スコアの「注意の切り替え」と視床脳弓領域のFA値と負の相関を認めた(スピアマン順位相関係数; ρ = -0. 56, p < 0. 001)。 B. マカクザル(サル)における非言語的誤信念課題中の脳活動および視線の同時計測:6頭のマカクサルに6種類の「非言語的」誤信念課題を見せた時の注視点計測を行い、動画中の登場人物の誤信念を理解していると考えられる領域方向(Target)を最初に見る頻度が有意に高いことを確認した(ウィルコクソンの符号順位検定: P=0.035, N=6)。次にヒトで最も関連が示唆されている内側前頭前野の脳活動を抑制を行った。するために抑制性のDesigners Receptor Exclusively Activated by Designers Drug(DREADD)であるh4MDiを組み込んだレンチウイルスベクターを5頭のマカクザルの内側前頭前野に注入し、リガンドであるClozapine N-Oxide(CNO)を筋注することでh4MDiを活性させ、注入部位を抑制させることで非言語的誤信念課題を視聴中の結果に変化が生じるかを検証した。その結果、CNOを注射した場合にはTargetを有意に最初に見る傾向は消失し(二項検定: P=0.6636, N(test試行回数)=21) 、生理食塩水を注射した場合にはその傾向を認めた(二項検定: P=0.009, N(test試行回数)=26)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
「A.ヒトにおける非言語的誤信念課題中の脳活動および視線の同時計測」においては、脳磁図計測に先行して脳磁図電流源推定のための位置決めMRI撮像(T1強調画像)を予定数行うことができたが、定型発達群で予定数に達することができず、脳磁図測定に移ることができなかった「B. マカクザルにおける非言語的誤信念課題中の脳活動および視線の同時計測」についてはほぼ予定通り実験を遂行できた。
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Strategy for Future Research Activity |
「A.ヒトにおける「非言語的」誤信念課題中の脳活動および視線の同時計測」は定型発達群の脳磁図計測に先行して脳磁図電流源推定のための位置決めMRI撮像(T1強調画像)に達した時点で脳磁図計測を開始し、今年度中にASD群、定型発達群それぞれ20名以上計測して、比較する予定である。 「B. マカクザルにおける「非言語的」誤信念課題中の脳活動および視線の同時計測」においては、予定通り実験が遂行できたため、その結果をまとめて英文論文への投稿および国際学会などで発信する。
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Causes of Carryover |
、脳磁図計測に先行して脳磁図電流源推定のための位置決めMRI撮像(T1強調画像)を予定数行うことができたが、定型発達群で予定数に達することができなかったため、予定数に足りない分12名の定型発達群のMRI撮像および謝金が次年度使用額として必要となった。
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