2015 Fiscal Year Annual Research Report
脳疾患モデルマウスの病態解析を可能とする磁気共鳴分子イメージング研究
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26293280
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
藤井 博匡 札幌医科大学, 医療人育成センター, 教授 (70209013)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 脳・神経疾患 / 酸化ストレス / ROS / 磁気共鳴 |
Outline of Annual Research Achievements |
「磁気共鳴イメージング装置による酸化ストレス状態(病態)評価研究」について実施した。昨年度、高速磁気共鳴イメージングシステムが完成したので、コントロールマウスや脳疾患モデルマウスを用いた検証実験を行った。申請者の研究室で最も経験のある脳炎症モデルマウス(リポポリサッカリドを脳内へ投与)を用いて、3D 画像から酸化ストレス状態の画像評価が実現出来ていることを確認できた。脳内レドックスの評価には、血液脳関門の透過性や、疎水性・親水性のバランスなど、ニトロキシド分子の選択やイメージングステムの調整を詳細に行った。 上記の成果を受けて、本年度はreactive oxygen species (ROS) による酸化ストレスの影響が注目されているアルツハイマー病 (Alzheimer’s disease: AD) モデルマウスの酸化ストレス評価研究を開始した。ADモデルマウスはアルツハイマー病遺伝子組み換えモデルとして広く用いられているB6.Cg-Tg(APdE9:APPswe, PSEN1dE9)85DBo/J マウスを用い、同月齢のAD モデルマウスとコントロール健常マウスを準備し、脳内酸化ストレス状態を磁気共鳴イメージング法で経時的に評価した。AD モデルマウス製作は連携研究者・下濱が担当し、順調に作製できた。これらのADモデルマウスを用いて「脳疾患モデルマウスの酸化ストレス評価」研究に着手した。 酸化ストレス状態の評価は、酸化ストレス感受性ニトロキシド造影剤を投与したマウス頭部において経時的にEPR イメージング画像を撮像し、一連の画像から酸化ストレス度合いの指標である還元反応速度定数を求め、脳内全域でのトータルな酸化ストレス度合いの定量評価や、脳内の酸化ストレス変動部位の特定を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
動物体内の酸化ストレス状態を非侵襲的に可視化するシステムを完成させ、脳疾患モデル動物の作製も出来た。これらの動物の脳内レドックス状態を完成したシステムで可視化することが出来ており、計画書に書かれたスケジュールどおり、おおむね進んでいると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
実験動物の脳組織の酸化ストレス状態を非侵襲的に可視化するシステムを作り上げることが出来た。本システムを活用し、平成27年度までにコントロールマウス(健常マウス)、アルツハイマーモデルマウスの脳内レドックス状態を識別して可視化できることができた。今後は本技術を利用して、脳疾患モデルマウスの脳内レドックスをコントロールする研究を推進する計画である。具体的には、脳内レドックス状態を変動させうる素材を食することにより、脳内レドックスの変動を活用した軽度アルツハイマー病の病態変動の遅延の可能性について検討する。
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Causes of Carryover |
研究の進捗状況で、人件費、謝金等が想定以上に増加したので、次年度補助金の前倒しを実施した。その際の残額として次年度使用金5円が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
生じた次年度使用金は、平成28年度の物品費に加えて使用する計画である。
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