2014 Fiscal Year Annual Research Report
新規Hedgehogシグナル系制御療法開発のためのSmo転写活性化経路の解析
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26293289
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大西 秀哉 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30553276)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片野 光男 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10145203)
中野 賢二 九州大学, 先端融合医療レドックスナビ研究拠点, 教授 (00315061)
野村 政壽 九州大学, 大学病院, 講師 (30315080)
中村 勝也 九州大学, 大学病院, 助教 (60585743)
久保 真 九州大学, 大学病院, 助教 (60403961)
山崎 章生 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 共同研究員 (80404440)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | Smoothened転写活性 / Hedgehogシグナル / 低酸素環境 / Notchシグナル / 膵臓癌 / 増殖能 / 浸潤能 / 治療標的 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、DNAアレイ、蛋白チップを基本として網羅的に解析することにより、Smo転写活性制御関連候補遺伝子(分子)の選別を行い、さらに候補遺伝子の遺伝子導入、siRNAを基本として SMO発現と機能変化(増殖能・浸潤能・造腫瘍能)を解析し、治療標的になりうる候補遺伝子(分子)の絞り込みを行うことを目的とした。 まず、我々が低酸素環境下で6カ月間継代培養を続け樹立した慢性低酸素環境耐性膵癌細胞株と通常酸素環境下で培養を続けている親株とをDNAマイクロアレイで比較解析し、低酸素環境におけるHedgehog(Hh)シグナル系の活性化にHhシグナルと同じく形態形成シグナルであるNotchシグナルのtranslational regulatorが関与することが示唆された。さらに、2日間低酸素環境下で培養した急性低酸素膵癌細胞株と通常酸素環境下で培養を続けている親株とをDNAマイクロアレイ解析することにより、同定されたNotchシグナルのtranslational regulatorが急性低酸素の系でも低酸素環境におけるHhシグナル活性化に関与していることを確認した。 次に、これらNotchシグナルのtranslational regulatorをsiRNAあるいは、plasmid導入により、抑制あるいは亢進する系を用いて、Notchシグナルのtranslational regulatorが、低酸素環境におけるSmo発現および、低酸素環境における膵癌増殖、浸潤に関与することを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の成果に記載したように、①6カ月間継代培養を続け樹立した低酸素環境耐性膵癌細胞株を用いたマイクロアレイ解析により、低酸素環境におけるHedgehog(Hh)シグナル系の活性化にHhシグナルと同じく形態形成シグナルであるNotchシグナルのtranslational regulatorが関与することを見出した。②2日間低酸素環境下で培養した急性低酸素膵癌細胞株を用いたマイクロアレイ解析により、①の結果を再確認した。③さらに、Notchシグナルのtranslational regulatorが、低酸素環境におけるSmo発現および、低酸素環境における膵癌増殖、浸潤に関与することを見出した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の27年度の計画に沿って、Smo転写活性制御関連候補分子によるSmo遺伝子プロモーター解析を行う。具体的には、1)Smo遺伝子5’プロモーター領域における候補分子の結合部位を、Matchプログラムを用いコンピュータ解析により同定する(Kel et al, Nucleic Acids Res, 2003)。2)同定された結合配列を用いてElectrophoresis Mobility Shift Assay(EMSA)を行い、候補分子のDNA結合活性を確認する。3)ルシフェラーゼレポーターアッセイ法により候補分子によるSmo遺伝子の転写活性制御を確認する。さらに平成28年度計画である治療実験を、前倒しして実施する。
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Causes of Carryover |
マイクロアレイ解析で、複数(多く)の遺伝子(因子)をpick upする必要があると想定していたが、実際は、Notchシグナルのtranscriptional regulatorの2因子に、首尾よく絞ることができ解析中である。したがって、siRNAやplasmidの作成にかかる費用が軽減したため、次年度に回すことができた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
来年度はSmo転写活性制御関連候補分子によるSmo遺伝子プロモーター解析を行う予定である。さらに平成28年度計画であるヌードマウスを用いた治療実験を、前倒しして実施する予定としている。
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