2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26293300
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
宮川 眞一 信州大学, 学術研究院医学系, 教授 (80229806)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 明 信州大学, 学術研究院医学系(医学部附属病院), 講師 (00447773)
本山 博章 信州大学, 学術研究院医学系(医学部附属病院), 助教 (20569587)
小林 聡 信州大学, 学術研究院医学系, 准教授 (90334903)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 胆管癌 / 薬物療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はバイオパニングによって、 胆管細胞癌株に特異的に結合して細胞内に移行するペプチドcop35を見出し, 胆管癌細胞株(CCC: RBE, YSCCC)に対する抗癌剤への増強効果を検討している。臨床的に肝癌には有効であるが胆管細胞癌には適応がない分子標的薬であるソラフェニブとの併用においてソラフェニブ単独投与時に較べ有意な増殖抑制効果を持つことが示された。肝癌細胞株のソラフェニブ耐性獲得にオートファジー亢進によるアポトーシス抑制が関与しているとの報告があり、胆管細胞癌にソラフェニブが効きにくい機序としてオートプァジーの関与を考え、PI3K - mTORC1 - オートファジーの経路に注目し, 肝癌細胞株(HCC: HLF, Huh-7)と比較検討した。RBE細胞ではmTORC1はソラフェニブとcop35の同時投与でmTORC1の発現やオートプァジーに変化は見られず, またmTORC2をノックダウンしてもmTORC1の発現やその下流のシグナル伝達系は影響を受けないことが明らかとなった。したがって、肝癌細胞株のソラフェニブ耐性獲得にはオートファジー亢進によるアポトーシス抑制が関与しているのに対し、胆管癌細胞株RBEではソラフェニブ不応のメカニズムとしてAKT/mTORC1系を介するオートファジーは関与していないと考えられた。 一方、mTORC1インヒビターのエベロリムス+ソラフェニブ投与では、 エベロリムスの濃度を400nMまで上げないと増殖抑制効果が見られなかった。その機序としてmTORC1発現増加に対するフィードバックによるAKTリン酸化の増加(特にSer473)による細胞増殖が関係していると考え、さらなる検討を進めている。この結果は平成28年6月中に投稿する予定で, 現在準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
CCCではソラフェニブに対するオートファジーがHCCに比べ亢進し,細胞増殖に向かうことを予測していたが、オートファジーの亢進は見られなかったため、 その機序としてmTORC1の挙動に注目し、上記の研究を進めてきた。ソラフェニブ+cop35投与により肝癌細胞株ではmTORC1は発現低下が見られたが、胆管癌細胞株のRBEではmTORC1の発現低下は認められなかった。その機序として、胆管癌細胞株ではソラフェニブがAKT/mTORC1系を介さないため(投稿準備中)、 cop35の相乗効果が期待ほど大きくないという結論を得た。しかし、 RBEでcop35によるソラフェニブへの相乗効果は認められているため、 cop35と小胞体ストレス応答の関係を検討中である。また、 ラパマイシンのアナログであるエべロリムス投与により、RBE株ではオートファジーが起こることを確認おり、 cop35の相乗効果を検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
ソラフェニブについては, cop35 はGRP78と結合することから、同時投与で見らた細胞増殖抑制に対し, 小胞体のストレス応答を弱めアポトーシス促進を促すという仮説のもと、 この系を持続検討して行く。また、エべロリムスがRBE株でオートファジーを促進する事がわかったため、 本来のエベロリムスの細胞増殖抑制能に対する逃避メカニズムとしてのオートファジーを検討する。現在、 エべロリムスとcop35のRBEへの同時投与で, ソラフェニブ単独に比べ強い細胞増殖抑制効果を認めているため、 mTORC1からunc-51 like kinase 1を介したcop35の関与について検討を進めていく。
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