2014 Fiscal Year Annual Research Report
微小重力培養した骨髄間葉系幹細胞による胸部大動脈瘤術後対麻痺の再生治療
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26293312
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
末田 泰二郎 広島大学, 医歯薬保健学研究院, 教授 (10162835)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
弓削 類 広島大学, 医歯薬保健学研究院, 教授 (20263676)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 胸腹部大動脈瘤 / 対麻痺 / 脊髄再生治療 / 骨髄間葉系幹細胞 / 微小重力培養 / 神経分化誘導 / 神経幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
胸部下行、胸腹部大動脈瘤手術における脊髄虚血や脊髄梗塞により脊髄前角細胞が変性して起こる対麻痺は最悪の合併症である。ひとたび発症した対麻痺は有効な治療法がない。 そこで、対麻痺に陥った脊髄神経細胞の骨髄間葉系幹細胞を用いた再生治療を考案した。分担研究者の弓削らが開発した3次元模擬微小重力細胞培養装置(Gravite(株)スペース・バイオ・ラボラトリー)を用いて骨髄間葉系幹細胞を培養すると通常重力下の細胞培養に比べて未分化骨髄間葉系幹細胞を大量に培養できることに着目した。微小重力環境下(10マイナス3G)でES細胞を神経幹細胞に分化誘導を行うと通常重力培養したより神経幹細胞(ネスチン発現細胞)が高率に出現した。この現象に着目して、微小重力環境下で培養した骨髄間葉系幹細胞または神経幹細胞を用いて虚血障害に陥った脊髄神経細胞を再生して対麻痺を治療することを発想した。 平成26年はラット大腿骨より採取した骨髄間葉系幹細胞微小重力培養を微小重力培養を行い未分化細胞が大量に得られるかを基礎的に検討したところ、通常重力培養に比較して未分化細胞が大量に培養できた。骨髄間葉系幹細胞が、微小重力細胞培養では分化のスイッチが入ることなく培養されているものと推測した。微小重力培養で最も効率的に未分化細胞が得られる重力条件、培養条件、1Gに戻した時の微小重力培養細胞の変化を観察したが、10マイナス3G以下には微小重力条件を変えることができず十分な検討ができなかった。神経幹細胞分化の予備実験としてES細胞を無血清培養液と浮遊培養液液に混ぜて分化誘導させて神経幹細胞(ネスチン発現細胞塊)へ分化するかを検討したところ神経分化誘導を継続すると神経幹細胞に分化した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
胸部下行、胸腹部大動脈瘤手術における脊髄虚血や脊髄梗塞により脊髄前角細胞が変性して起こる対麻痺は最悪の合併症である。対麻痺に陥った脊髄神経細胞の骨髄間葉系幹細胞を用いた再生治療を考案した。分担研究者の弓削らが開発した3次元模擬微小重力細胞培養装置(Gravite(株)スペース・バイオ・ラボラトリー)を用いて骨髄間葉系幹細胞を培養すると通常重力下の細胞培養に比べて未分化骨髄間葉系幹細胞を大量に培養。微小重力環境下(10マイナス3G)でES細胞を神経幹細胞に分化誘導を行うと通常重力培養したより神経幹細胞(ネスチン発現細胞)が高率に出現した。この現象に着目して、微小重力環境下で培養した骨髄間葉系幹細胞または神経幹細胞を用いて虚血障害に陥った脊髄神経細胞を再生して対麻痺を治療することを発想した。 平成26年はラット大腿骨より採取した骨髄間葉系幹細胞微小重力培養を微小重力培養を行い未分化細胞が大量に得られるかを基礎的に検討したところ、通常重力培養に比較して未分化細胞が大量に培養できた。骨髄間葉系幹細胞が、微小重力細胞培養では分化のスイッチが入ることなく培養されているものと推測した。微小重力培養で最も効率的に未分化細胞が得られる重力条件、培養条件、1Gに戻した時の微小重力培養細胞の変化を観察したが、10マイナス3G以下には微小重力条件を変えることができず十分な検討ができなかった。現在の微小重力培養装置は1G、マイナス1~3Gまで微小重力を変更できるが、細胞をさらに静的にするのはより微小重力が必要と思われた。神経幹細胞分化の予備実験としてES細胞を無血清培養液と浮遊培養液液に混ぜて分化誘導させて神経幹細胞(ネスチン発現細胞塊)へ分化するかを検討したところ神経分化誘導を継続すると神経幹細胞に分化した。さらに分化誘導を続けると神経細胞になると期待された。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年はラット大腿骨より採取した骨髄間葉系幹細胞微小重力培養を微小重力培養を行い未分化細胞が大量に得られるかを基礎的に検討したところ、通常重力培養に比較して未分化細胞が大量に培養できた。骨髄間葉系幹細胞が、微小重力細胞培養では分化のスイッチが入ることなく培養されているものと推測した。未分化細胞の性質をより詳細調べるためにテロメア長の比較が必要である。微小重力培養で効率的に未分化細胞が得られた後は、神経幹細胞に効率的に分化させる方法の確立が必要である。現在、フィーダー法で神経幹細胞に分化誘導させる方法をES細胞では検討したが、骨髄間葉系幹細胞を未分化細胞のまま大量培養した場合、フィーダー法では簡単には神経幹細胞への分化のスイッチが入らないことを観察した。ES細胞では無血清培養液と浮遊培養液液に混ぜて分化誘導させて神経幹細胞(ネスチン発現細胞塊)へ分化するかを検討し、分化誘導を続けると神経細胞になる可能性が示された。骨髄間葉系幹細胞でも効率的に神経幹細胞に分化する手法を27年度に検討していく。
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