2014 Fiscal Year Annual Research Report
薬剤耐性遺伝子に関するmicroRNAを用いた悪性脳腫瘍に対する分子治療の研究
Project/Area Number |
26293324
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
田宮 隆 香川大学, 医学部, 教授 (50252953)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三宅 啓介 香川大学, 医学部附属病院, 講師 (00398033)
河井 信行 香川大学, 医学部, 准教授 (40294756) [Withdrawn]
小川 大輔 香川大学, 医学部附属病院, 助教 (70524057)
岡田 真樹 香川大学, 医学部附属病院, 助教 (40457346)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 薬剤耐性遺伝子 / MicroRNA / MGMT / 脳腫瘍 |
Outline of Annual Research Achievements |
・薬剤耐性遺伝子MGMTを抑制しうるmicroRNAの絞り込み: 種々のデータベース(microRNA.org、miRbase、Target Scan)を用いて、MGMTのメッセンジャーRNA(mRNA)の3’-UTRに対して相補性を持つmicroRNAを割り出し、予想される結合力、動物種間の保存性の高いものからMGMTの発現を抑制しうる可能性をもつmicroRNAを6候補に絞り込んだ。これらのmicroRNAをリポフェクション法で脳腫瘍細胞株に強制発現させたところ、MGMTのmRNAおよび蛋白レベルにおける発現をそれぞれ40%および60%抑制していた。 ・MicroRNAのMGMT mRNA 3’-UTRへの直接結合の確認: MicroRNAとMGMTのmRNAが直接結合していることを確認するため、プラスミドベクター上のMGMT mRNA 3’-UTRのmicroRNA結合部位を変異させたMGMT発現ベクター(mutMGMT)を用い、内在性MGMT発現のない脳腫瘍細胞株にmicroRNAとmutMGMT の両者を発現させ、mutMGMTがmicroRNAにより発現抑制されないことをRNAレベルおよびタンパクレベルにおいて示した。この結果より、microRNAが予想されていたmRNAに直接結合して翻訳抑制されていることが証明された。 なお、本年度の実施計画にあるmicroRNAによる細胞への影響(増殖能、遊走能、アポトーシスなど)の評価は目下進行中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究計画の目的の一つに、microRNAがmRNAと結合することによって翻訳抑制する性質を利用して、薬剤耐性遺伝子であるMGMTの発現量を抑制することにより、脳腫瘍のテモゾロマイドに対する感受性を増加させ、より効果的な化学療法の治療効果の向上がある。 本年度においては、まずその候補となるmicroRNAを絞り込み、実際に薬剤耐性遺伝子MGMTの発現抑制をきたすmicroRNAを同定できた。このmicroRNAはRNAレベルで40%、蛋白レベルで70%の発現を抑制できることがわかっており、この抑制率をもって実際にどれぐらい感受性向上に貢献できるかが今後の研究課題である。また、microRNAがMGMTのmRNAに結合して、直接作用していることを示すのは非常に重要であり、データベースより予想された通り、本年度の研究成果からMGMTの3’-UTRに結合していることを確認できた。これにより、他の物質を介さず、microRNAが直接MGMTの発現量を調節していることが示され、臨床応用において重要なデータが得られた。 現在、増殖、遊走、アポトーシスを中心に、このmicroRNAが細胞に与える影響を評価中である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在進行中のmicroRNAが細胞に与える影響(増殖、遊走、アポトーシス)を継続して評価していく。今後このmicroRNAを臨床応用するにあたり、考慮すべき基礎となるデータであり、慎重に評価を行う。その結果を踏まえた上で、このmicroRNAによる脳腫瘍細胞株のテモゾロマイド感受性向上の確認をin vitroにおいて行う。具体的にはリポフェクション法を用いて一過性にmicroRNAを脳腫瘍細胞株に過剰発現させ、MGMTが発現抑制された状態で、テモゾロマイドに対する感受性が向上しているかを評価する。このリポフェクション法がうまくいかない場合には、CMVレンチウィルスを用いてmicroRNAを安定発現させた細胞株を樹立し、同様のテモゾロマイドに対する感受性試験を行う。 In vitroにおけるmicroRNAのMGMT発現抑制効果を確認できた時点で、レンチウィルスを用いてmicroRNAを安定発現させた脳腫瘍患者細胞株を免疫不全マウス(Athmic nude)の脳内に定位装置を用いて移植する。この脳腫瘍モデルにPBSを腹腔内投与したコントロール群において、microRNAがホストマウスの生存期間に悪影響を及ぼさないことを確認しつつ、テモゾロマイド腹腔内投与群においてはin vivoにおいてもmicroRNAが脳腫瘍細胞のテモゾロマイド感受性を向上させ、ホストマウスの生存期間延長を来たすことを確認する。感受性の確認方法としては、Caplan-Meier法を用いた生存期間の比較や、一定期間ごとの脳組織切片を用いた体積比較を予定している。
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Causes of Carryover |
残高調整程度の少額であったため翌年に繰り越しとする。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
少額であるため当初の研究使用計画に変更はない
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Research Products
(3 results)