2015 Fiscal Year Annual Research Report
iPS細胞による次世代骨・軟骨再生療法のための培養誘導技術の開発
Project/Area Number |
26293336
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
吉川 秀樹 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 理事・副学長 (60191558)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
名井 陽 大阪大学, 医学部附属病院, 准教授 (10263261)
中田 研 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00283747)
中村 憲正 大阪大学, 国際医工情報センター, 招へい教授 (50273719)
梅澤 明弘 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, その他部局等, その他 (70213486)
福田 寛二 近畿大学, 医学部, 教授 (50201744)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | iPS細胞 / 再生療法 / 骨 / 軟骨 / 培養誘導 |
Outline of Annual Research Achievements |
大型骨軟骨欠損を対象とした画期的な次世代再生療法の開発のためには、iPS細胞による新しい培養誘導技術を確立する必要があった。我々は、今年度までに動物iPS細胞を用いた間葉系前駆細胞への分化誘導するための培養誘導条件の改良を重ね最適化に関する基礎的検討を行ってきた。その結果、間葉系前駆細胞より成熟した骨芽細胞系細胞に近い特性を有すると考えられる細胞を作製することが可能となった。 具体的なiPS細胞から骨芽細胞系細胞への培養誘導法としては、FGF、BMPなどをはじめとする6種類のサイトカインと2種類の低分子化合物を濃度勾配により段階的に組み合わせ添加する誘導法を採用した。無血清下でEB形成を経ずに単層培養法のみで行い、低酸素培養と表面処理された培養皿を段階的に併用した。その結果、培養誘導開始から4週間後には、基質石灰化形成を認める骨芽細胞系細胞が作製することが可能となった。この作製細胞は、継代後8週~12週間を経ても高いアルカリフォスファターゼ (ALP) 活性を示すだけでなく、増殖能を失っていなかった。作製されたALP陽性を示す細胞は80%以上に及び、骨芽細胞分化液性因子の添加により約10日間で石灰化形成能を示したことから、高い骨形成能と増殖能を有する成熟した骨芽細胞系細胞を作製する培養誘導法を確立することができた。また骨芽細胞系細胞の三次元組織化については、三次元力学負荷装置を用いて培養人工骨を作製し、実験動物生体内での骨形成能と安全性を確認中である。さらに本培養誘導系では、マイクロアレイによる網羅的遺伝子発現解析を行い、分化指向性の確認と新規分化誘導因子の探索を進めており、複数の新規分化マーカー候補を同定している。 今年度の成果概要としては、①動物iPS細胞から骨芽細胞系細胞への分化誘導条件の最適化、②新規分化マーカーの同定、③骨芽細胞系細胞の三次元組織化を達成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、前年度に引き続き動物iPS細胞を用いて、間葉系幹細胞に比べより骨芽細胞系細胞に近い特性を有する骨芽細胞系細胞を作製するための分化誘導条件の最適化を行った。その結果、iPS細胞から骨芽細胞系細胞を培養誘導し、大量に作製する分化誘導法を確立することができた。作製した骨芽細胞系細胞は、FACS、遺伝子発現解析、ALP活性、増殖能および石灰化能を有することから、高い骨形成能をもつ成熟した骨芽細胞系細胞であることを確認している。本培養誘導法は、段階的な低酸素培養と表面処理された培養皿を併用することにより、無血清下でEB形成を経ずに平面培養だけでも大量に培養誘導可能な技術である。 動物iPS細胞による骨芽細胞系細胞への分化誘導条件の最適化は完了しており、新たな分化誘導因子候補の同定も行い検証を進めている。また本培養誘導法の三次元組織化の最適化を行うと同時にヒト細胞への応用も開始している。サイトカインに頼らない化合物だけによる分化誘導法の最適化も進めており、作製した骨芽細胞系細胞の生体内での骨形成能と安全性の評価についても現在進行中である。 上記に挙げた今年度の成果概要の通り、本研究はほぼ予定通り実施、達成できている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、昨年度までに進めてきたiPS細胞からの間葉系前駆細胞、あるいは骨芽細胞系細胞への分化誘導法のさらなる高効率化と安全性を目指した化合物だけによる培養誘導の最適化を行う。またこの際、網羅的遺伝子発現解析、染色体異常の検査および造腫瘍試験を行いながら、引き続き作製した細胞の評価を行う。本培養誘導系において前年度までに行った網羅的遺伝子発現解析およびトランスクリプトーム解析により新規の分化誘導因子および発現マーカー探索を行い候補分子を同定する。 動物iPS細胞で確立した分化誘導プロトコールをヒトiPS細胞へ応用し、ヒト間葉系前駆細胞、あるいは骨芽細胞系細胞作製のための最適化を行う。作製した細胞の網羅的遺伝子発現解析および網羅的遺伝子発現解析を行い、これらの特性および有用性や安全性も同様に評価する。 さらに臨床応用への基礎となる技術開発を行うために細胞レベルから三次元組織レベルへの段階的移行が可能な三次元力学刺激培養装置を用いた組織化法の確立と最適化も同時に進める。培養人工骨など三次元組織化した組織の実験動物への移植実験を行い、骨軟骨組織再生能と安全性の評価を進めていく予定である。 今年度の具体的な方針としては、①動物細胞で確立した分化誘導法をヒト細胞で応用開始、②新規の分化誘導因子および発現マーカーの同定、③二次元培養から三次元培養への組織化法の確立、④細胞レベルと同様に組織レベルでの動物への移植実験、などを行っていく予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Preparation of Scaffold-Free Tissue-Engineered Constructs Derived from Human Synovial Mesenchymal Stem Cells Under Low Oxygen Tension Enhances Their Chondrogenic Differentiation Capacity2016
Author(s)
Yasui, Y., Chijimatsu, R., Hart, D.A., Koizumi, K., Sugita, N., Shimomura, K., Myoui, A.., Yoshikawa, H., Nakamura, N.
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Journal Title
Tissue Engineering Part A
Volume: 22
Pages: 490~500
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research / Acknowledgement Compliant
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[Journal Article] Progranulin plays crucial roles in preserving bone mass by inhibiting TNF-α-induced osteoclastogenesis and promoting osteoblastic differentiation in mice2015
Author(s)
Noguchi, T., Ebina, K., Hirao, M., Kawase, R., Ohama, T., Yamashita, S., Morimoto T., Koizumi, K., Kitaguchi, K., Matsuoka, H., Kaneshiro, S., Yoshikawa, H.
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Journal Title
Biochem. Biophys. Res. Commun.
Volume: 465
Pages: 638~643
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research / Acknowledgement Compliant
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[Presentation] Analysis of Amino Group Formation on Polystyrene Surfaces by Nitrogen-Hydrogen-Based Plasma Irradiation2015
Author(s)
Gotoh, K., Itsuki, D., Michiro Isobe1, Sugimoto, S., Miyamoto, S., Myoui, A., Yoshikawa, H., Hamaguchi, S.
Organizer
American Vacuum Society 62nd International Syposium
Place of Presentation
San Jose, U. S. A.
Year and Date
2015-10-18 – 2015-10-23
Int'l Joint Research
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[Presentation] Optimization of culture conditions for directing osteogenesis differentiation of mouse induced pluripotent stem cells2015
Author(s)
Miyamoto, S.,Myoui, A., Okuzaki, D., Goto, N., Hamaguchi, S., Yoshikawa, H.
Organizer
International Society for Stem Cell Research 2015 Annual Meeting
Place of Presentation
Stockholm, Sweden
Year and Date
2015-06-24 – 2015-06-27
Int'l Joint Research