2016 Fiscal Year Annual Research Report
多系統動物モデルを用いた尿路上皮癌の発癌進展における腫瘍微小環境の解明
Project/Area Number |
26293349
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
西山 博之 筑波大学, 医学医療系, 教授 (20324642)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮崎 淳 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (10550246)
小島 崇宏 筑波大学, 医学医療系, 講師 (40626892)
常樂 晃 筑波大学, 医学医療系, 講師 (60436277)
河合 弘二 筑波大学, 医学医療系, 講師 (90272195)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 腫瘍微小環境 / 腫瘍免疫 / 尿路上皮癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
①モルモット尿路上皮癌モデルの作成 モルモットに乾燥ワラビを投与して得られた膀胱癌を用いて、プライマリーカルチャーを行った。現在30継代を超えている。顕微鏡所見からは、3種類の細胞が得られており、それぞれモルモット背部に接種し、腫瘍形成実験を試みた。安定した腫瘍形成が得られるよう接種細胞数、マトリゲルとの同時投与など検討を行っている。 ②脂質免疫関連 BCG細胞壁脂質成分であるミコール酸をリポソーム化し、in vivo実験を行った。C57BL/6マウスをPBS、コントロールリポソーム、ミコール酸リポソームの3群にわけ、混合投与および追加投与を行う系で、抗腫瘍活性を検証した。ミコール酸リポソームで抗腫瘍効果が見られた。NK活性の欠如したbeigeマウスを用いて同様の実験を行ったところ、ミコール酸リポソームの抗腫瘍活性がみられた。免疫染色により腫瘍へのリンパ球浸潤を評価した。CD8陽性リンパ球の腫瘍への浸潤が、ミコール酸リポソーム投与群においてコントロールリポソーム群よりも優位に高かった。 ③遺伝子改変マウスを用いたBBN膀胱発癌モデルによる発癌メカニズムの解明 脂質代謝酵素Pld(Pld1、Pld2)に着目した。6~8週齢のPld-WT、Pld1-KO、Pld2-KOマウスに対して0.025%BBNを自由飲水にて投与し、12週後および20週後における膀胱癌発生の有無、浸潤度の評価を行った。20週の上皮内癌の発生はPld-WT 0/3匹、Pld1-KO 3/3匹、Pld2-KO 1/3匹であった。浸潤癌の発生はPld-WT 3/3匹、Pld1-KO 0/3匹、Pld2-KO 2/3匹であった。以上の結果から、Pld1が膀胱発癌において重要な役割を有している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
モルモットの膀胱発がんモデルから予定通りに細胞株を樹立できた。現在得られた膀胱癌細胞のプライマリーカルチャーを行い、継代を続けている。次年度はモルモット膀胱癌細胞株と、それを用いたモルモットのsyngeneic腫瘍モデルの確立を目指す。 BCG細胞壁成分を用いた新規がんワクチンについては、BCG細胞壁脂質成分の抗腫瘍効果において獲得免疫が関与することを明らかにした。 遺伝子改変マウスを用いたBBN膀胱発癌モデルによる発癌メカニズムの解明については、新たに腫瘍微小環境に関わる分子であるPLD1,PLD2のノックアウトマウスを用いて発がんに違いがあることを明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
①脂質免疫関連 平成28年度にモルモットのワラビ膀胱発癌モデルを確立した。現在得られた膀胱癌細胞のプライマリーカルチャーを行い、継代を続けている。モルモット膀胱癌細胞株と、それを用いたモルモットのsyngeneic腫瘍モデルの確立を目指す。細胞数、マトリゲルとの混合接種など安定した皮下腫瘍モデルを作成するため条件検討を行う。安定した皮下腫瘍モデルが確立すれば、特許出願済みのリポソーム作成技術を用いてBCG細胞壁脂質成分の抗腫瘍効果をモルモットで検証する。マウスにおけるBCG細胞壁脂質成分ミコール酸の抗腫瘍効果発現メカニズムを解明する。脂質免疫において重要なCD1分子の膀胱がん細胞における発現、ミコール酸による発現の変化を検討する。また、CD1dノックダウンマウス膀胱癌細胞株を作成し、皮下腫瘍モデルにおいて、ミコール酸の抗腫瘍活性に対するCD1dの与える影響を評価する。脂質免疫と獲得免疫との関連については、CD4 depletion抗体を用いたCD4-マウスモデルの作成を予定している。 ②遺伝子改変マウスを用いたBBN膀胱発癌モデルによる発癌メカニズムの解明 平成28年度の追試を行うため、6~8週齢のPld-WT、Pld1-KO、Pld2-KOマウス各20匹に対して0.025%BBNを自由飲水にて投与し、12週後および20週後における膀胱癌発生の有無、浸潤度の評価を行う。また、免疫化学染色による血管新生(CD31)、免疫環境(CD4/FOXP3、CD8など)の評価を行い、Pldのがん微小環境への影響を検討する。Elovl6-KOマウスの準備が整い次第、同様の実験を行う予定である。
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Research Products
(1 results)