2014 Fiscal Year Annual Research Report
膀胱癌に対するキラーおよびヘルパーT細胞をともに活性化するがん免疫療法の開発
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26293353
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
江藤 正俊 熊本大学, 大学院生命科学研究部, 教授 (90315078)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河野 吉昭 熊本大学, 大学院生命科学研究部, 講師 (30593793)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 癌 / 免疫学 / トランスレーショナルリサーチ |
Outline of Annual Research Achievements |
膀胱癌を始めとする尿路上皮癌に対する標準的薬物療法にはGC療法とMVAC療法の2つのシスプラチンベースのレジメンしかないため、その不応例に対する治療法の開発が緊急の課題である。その1つの試みとしてHLA-A2あるいはA24拘束性の細胞傷害性T細胞(CTL)を誘導するペプチドワクチン療法が臨床研究に供されているが、強力なCTLを誘導するにはHLA classⅡ拘束性のCD4陽性ヘルパーT細胞(特にTh1細胞)の誘導が極めて重要である。本研究では、膀胱癌で発現の高いCDCA1, KIF20Aの2つの抗原ついて、1) CD8+CTLおよびCD4+Th1細胞の両方が認識するHLA拘束性抗原ペプチドを同定する、2) 当該抗原の遺伝子を強制発現させた、ヒトiPS細胞より分化誘導した樹状細胞を用いた細胞免疫療法の開発を試みるという2つの大きな研究を立案したが、H26年度はがん抗原CDCA1とKIF20Aについて、最新のHLAクラスII結合ペプチド推定アルゴリズムを利用して合成したペプチドも利用して、CTL エピトープを内包するTh1細胞エピトープを新たに複数個同定した。その結果、それらのTh1細胞エピトープペプチドを用いて、実際の進行膀胱癌患者検体(末梢血)より抗原特異的Th細胞が検出されるかどうかの検討が既に始まっており、CD8+CTLおよびCD4+Th1細胞の両方が認識するHLA拘束性抗原ペプチドの同定に進みつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
我々はこれまでに膀胱癌で発現が高く、CTLエピトープペプチドが、がん免疫療法の臨床研究で奏効を示している、がん抗原CDCA1とKIF20Aについて、最新のHLAクラスII結合ペプチド推定アルゴリズムを利用して合成したペプチドも利用して、CTL エピトープを内包するTh1細胞エピトープを、数種類同定したことを報告しているが、平成26年度に新たに複数個のTh1細胞エピトープを同定した。これは当初の予定通りで、H27年度の実際の膀胱癌患者の末梢血を用いる試験が施行できる。
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Strategy for Future Research Activity |
H27年度はこれまで同定してきたがん抗原CDCA1とKIF20AについてのTh1細胞エピトープペプチドを用いて、実際の進行膀胱癌患者検体(末梢血)より抗原特異的Th細胞が検出されるかどうかを検討する。またこれらのTh1細胞エピトープから樹状細胞によるcross-presentationにより、CTLエピトープが産生されCTLを活性化できるか否か検討する。さらにペプチド特異的なCTLとTh1細胞のin vitroにおける抗腫瘍免疫発現に関する強調作用、ヒト・リンパ球とヒトがん細胞を移植した免疫不全マウスを用いたin vivo抗腫瘍免疫解析系において、がん抗原特異的CTLとTh1細胞の併用による抗腫瘍効果について検討する予定である。
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Causes of Carryover |
経費を効率的に執行した結果、物品費を節約する事ができた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
節約できた分、実験器具や旅費などに有効に使用したい。
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