2014 Fiscal Year Annual Research Report
幹細胞と増殖因子徐放剤の併用による成熟血管再生と再生組織“血管化”基盤技術の開発
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26293382
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
水野 博司 順天堂大学, 医学部, 教授 (80343606)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 礼人 順天堂大学, 医学部, 准教授 (10365645)
田中 里佳 順天堂大学, 医学部, 准教授 (70509827)
飛田 護邦 順天堂大学, 医学部, 非常勤講師 (10599038)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 血管再生 / 再生医療 / 幹細胞 / 増殖因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
まずC57BL/6Jマウス鼠径部脂肪塊よりASCsを分離精製後、徐放化bFGF添加群、非添加群に分けて培養し得られた培養上清中に含まれる種々の増殖因子(HGF, VEGF, TGF-ß1)をELISA法で計測した。 次にC57BL/6J(雄性・12-15週)マウスに対し、独自の方法でマウス下肢虚血モデルを作成し、以下に示す如く虚血下肢大腿に筋肉内投与した。ゼラチンハイドロゲル群(実験群1)、ASCs 1×106移植群(実験群2)、徐放化bFGF 30ug移植群(実験群3)、徐放化bFGF 30ug+ASCs 1×104混合移植群(実験群4)、徐放化bFGF 30ug+ASCs 1×106混合移植群(実験群5)。評価方法は継時的肉眼観察及びレーザードップラーを用いた血流定量評価を移植0,4,7日後に実施した。また、移植7日後に虚血肢を採取し、組織学的及び免疫学的観察 (αSMA,CD31,CD146,TGF-beta1)を実施した。 その結果、ELISAにおいては、ASCsより放出される増殖因子は徐放化bFGFの添加により増強された。下肢虚血モデルに対するレーザードップラーによる血流定量解析の結果、移植4,7日後において実験群4および5が他群と比較し有意な血流改善率を認めた。組織学的評価においても実験群4,5は他群と比較して内腔が大きく血管壁も厚く、かつαSMA,CD146,TGF-beta1陽性が示す如く新生血管の構造的安定化と成熟化が認められた。 以上より、マウス下肢虚血モデルにおいてASCsと徐放化bFGFの混合移植は単体投与群に比べより効果的な血管再生効果を提供し、かつ新生血管の構造的安定化と成熟化に寄与することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた初年度実施計画と比較し、用いた細胞がASCsのみであり、EPCsおよびiPS由来EPCsを用いることができなかった。また血管成熟化の評価のためのデスミンに対する免疫染色等は未だ実施できていないが、予想された血管の成熟化を裏付ける多くのデータ収集ができていると思われる。引き続き来年度計画に加えて今年度未実施分についても実行する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画における基本方針については変更しない。当初の予定通り初年度実施できなかった計画に加え、次年度はラット血管付筋膜弁モデルを用いた幹細胞ー徐放化増殖因子複合体同時投与における主軸血管-再生血管間の階層化および成熟度評価と再生組織(軟部組織、骨組織)の血管化および組織機能評価を、レーザードップラー血流計、走査電子顕微鏡、組織免疫染色(CD31、CD146、αSMA、VEカドヘリン等)遺伝子発現(Tie2、Ang-1、Ang-2等)などで検証する。 加えて前年度に実施したマウス重症下肢虚血モデル以外のモデルで、可視化しやすく治療効果が判定しやすいマウス背部皮弁モデルおよび糖尿病マウス皮膚欠損モデルを用いて再生血管の成熟度の再現性を追加検証する。
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Causes of Carryover |
研究初年度に予定していた研究のうち、EPCsやiPS由来EPCsを用いた研究が思うように進まず、当該細胞培養等に拠出を予定していた物品費や、一部のモノクローナル抗体を用いた組織評価が出来ずに終わったために購入していない物品費等の分が未使用に終わったためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度未実施分の研究計画は次年度に予定するので、次年度使用額分に関しては当該研究に充当する予定である。
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