2014 Fiscal Year Annual Research Report
好中球免疫系の作動機序の統合的解明と細菌由来分子による好中球免疫の制御方法の検索
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26293390
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
寺尾 豊 新潟大学, 医歯学系, 教授 (50397717)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小田 真隆 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (00412403)
土門 久哲 新潟大学, 医歯学系, 助教 (00594350)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 肺炎レンサ球菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
NETs免疫系を作動させる肺炎レンサ球菌由来分子の候補ライブラリーの構築 三ヶ年計画の初年度は,研究計画全体で使用する試料の調整と各種顕微鏡の観察条件の至適化を中心に実施した.肺炎レンサ球菌の細胞壁画分,および分担研究者として参画している他の研究課題で得られた種々の病原因子の組換え体の余剰試料に加え,以下の手順でゲノム情報から推定される種々の細菌タンパクを組換え体として作製した. (1) レンサ球菌の菌体表層タンパクは,C末端側に保存されたモチーフがある.そのモチーフを指標として,ゲノムデータベースから推定のA群および肺炎レンサ球菌の菌体表層タンパクを選出し,組換えタンパクを作製した(担当:寺尾・土門).この際,グラム陽性菌であるレンサ球菌属の組換えタンパクは,グラム陰性菌である大腸菌で発現・精製することが困難であると予測した.そこで本研究では,種々の宿主や発現ベクターを組み合わせて,肺炎レンサ球菌の組換えタンパク調整方法の最適化を試みた(担当:寺尾・小田).(2) 続いて,上記手順(1)で作製した組換えタンパク溶液を,ヒト好中球に滴下した.この混合液を37°Cで1時間培養した後に,スライドグラスに塗抹し,高速スキャン型原子間力顕微鏡および蛍光顕微鏡試料とした(担当:寺尾・大学院生2名). (3) NETsの構成物質は,好中球の染色体DNAと内因性プロテアーゼであることが明らかにされた.そこで,蛍光顕微鏡試料については,SYBRgreen等の核酸結合性の蛍光試薬で染色した.そして,現況の顕微鏡下で,NETs展開を認める肺炎レンサ球菌の組換えタンパクの同定を行った(担当:寺尾・小田).(4) さらに,上記手順(3)でスクリーニングした肺炎レンサ球菌のタンパクに対応する遺伝子の欠失変異株を作製した.(担当:寺尾・大学院生2名).
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した「研究の目的」を4つ掲げて,今年度の課題推進に臨んだ.その結果,各実験手順の小項目4つについて,概ね順調に実施しかつ達成することができている.国内学会において,中間報告を行い,専門家からの研究示唆を得ることができた.その示唆をもとに英語学術論文を執筆し,受理ならびに投稿中のそれぞれの成果を上げている.本基盤研究 (B) にて実施した「NETs免疫系」に関する実験結果として,病原レンサ球菌を探知した好中球がETosis細胞死を起こすことに加え,マクロファージがMETsを誘導する減少も観察している.そして,運動する微生物を網状の構造物で捕獲し,他の貪食細胞に提示する役割を果たすことを明らかにできた.さらに,NETsを誘導する微生物の構成タンパク質についてもenolaseを同定した他,人工合成した脂質化合物からもNETs/METs誘導能を有する標品を決定できた. そこで,本基盤研究では,経時的に三次元撮影した生理的条件下のナノスケール顕微鏡画像から「NETs免疫系」を作動させる肺炎レンサ球菌由来の因子を同定し,感染防御のための免疫賦活剤としての可能性を検索する.最終的には,抗生物質と併用可能な感染症治療薬としての応用を目指す.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の今後の推進方策としては,平成26年度の進捗が概ね計画通りであることから,研究計画の変更あるいは研究を遂行する上での課題等はなく,申請調書に記した内容を実施する.具体的には,以下の通りである. (1) 肺炎レンサ球菌(まずは生きた全菌体)が,好中球表層に作用しNETs誘導を起こす過程を一分子ごとにリアルタイム画像で追跡し,超微細形態学的に解析する(担当:寺尾・大学院生2名). (2) 上記までの実験計画が順調に進捗した場合は,初年度に同定したNETs発現を亢進あるいは阻害する肺炎レンサ球菌由来の分子や,それらの特異抗体の投与によるNETs免疫コントロール法についても検討を加え始める.また,一連の実験過程で得られた材料を用いて,NETs発現に関与する好中球レセプターの検索も行う(担当:小田・土門). (3) 新たにMETs免疫系についても,リアルタイムイメージング解析のほかレセプター検索を実施する(担当:寺尾・大学院生2名). (4) NETs/METs免疫系を作動させる,それぞれのレセプター下流のシグナル伝達系についても,Western blot解析で探索を推進する(担当:小田・土門).
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Causes of Carryover |
当初購入予定であった抗体とその免疫反応実験試薬は,NETs誘導物質がスクリーングされてから特定できるものであった.その抗体の特定が,予定よりも時間を要したため,経費の執行に遅れが生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
既に,購入すべき抗体の特定が完了したため,当初予定の抗体およびその免疫反応実験試薬を購入する.
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[Journal Article] Clostridium perfringens alpha-toxin induces GM1a clustering and TrkA phosphorylation in the host cell membrane.2015
Author(s)
Takagishi, T., Oda, M., Kabura, M., Kurosawa, M., Tominaga, K., Urano, S., Ueda, Y.,Kobayashi, K., Kobayashi, T., Sakurai, J., Terao, Y., and Nagahama, M.
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Journal Title
PLoS one
Volume: in press
Pages: in press
Peer Reviewed
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[Journal Article] esidual structure of Streptococcus mutans biofilm following complete disinfection favors secondary bacterial adhesion and biofilm re-development.2015
Author(s)
Ohsumi, T., Takenaka, S., Wakamatsu, R., Sakaue, Y., Narisawa, N., Senpuku, H., Ohshima, H., Terao, Y., and Okiji, T.
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Journal Title
PLoS one
Volume: 10
Pages: e0116647
Peer Reviewed
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[Journal Article] Vizantin inhibits endotoxin-mediated immune responses via the Toll-like receptor 4/MD-2 complex.2014
Author(s)
Oda, M., Yamamoto, H., Shibutani, M., Nakano, M., Yabiku, K., Tarui, T., Kameyama, N., Shirakawa, D., Obayashi, S., Watanabe, N., Nakase, H., Suenaga, M., Matsunaga, Y., Nagahama, M., Takahashi, H., Imagawa, H., Kurosawa, M., Terao, Y., Nishizawa, M., and Sakurai, J.:
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Journal Title
J. Immunol
Volume: 193
Pages: 4507-4514
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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