2015 Fiscal Year Annual Research Report
新発見された前頭前皮質-中脳路核路と口腔顔面感覚、顎運動、ストレスとの関連の解明
Project/Area Number |
26293391
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
吉田 篤 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (90201855)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野 高裕 新潟大学, 医歯学系, 教授 (30204241)
永瀬 佳孝 森ノ宮医療大学, 保健医療学部, 教授 (50252698)
加藤 隆史 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 講師 (50367520)
井上 富雄 昭和大学, 歯学部, 教授 (70184760)
森谷 正之 森ノ宮医療大学, 保健医療学部, 教授 (80303981)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 神経解剖学 / 三叉神経 / 筋感覚 / 顎運動 / ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
26年度の研究で、三叉神経中脳路核(Vmes)ニューロンの細胞体が、ストレスと関連する外側手綱核からの直接投射を受けており、Vmesニューロンが伝達する感覚が、脳内のストレス関連部位に伝達される可能性が高いという本研究開始前の我々の予想の正しさが確認出来た。 それを受け、27年度は、Vmesに逆行性トレーサーであるFGを注入して一週間生存させた後、灌流固定の2時間前に拘束ストレスを与えた。その結果、前頭前皮質に、Vmesに投射することを示すFG-標識細胞が多数認められ、また、c-Fosタンパクを発現している細胞が多数認められた。そのうちの少数のFG-標識細胞がc-Fosを発現していた。以上より、我々が既に明らかにした前頭前皮質からVmesへの投射がストレス時に働いていることが示された。 更に、この前頭前皮質-Vmes投射が、Vmesニューロンが伝達する感覚によってfeedback controlを受けていることの解明を開始した。まず、Vmesニューロンが伝達する感覚種と伝達経路を再検討し、次の結果を得た。ラットのVmesニューロンは、(1)主に咀嚼筋筋感覚を伝達し、(2)三叉神経上域の小部位に終止する。(3)この部位は、Paxinos and Watsonが記載している三叉神経上核とは異なる。(4)この部位をラットの(本来の)三叉神経上核と再定義した。(5)三叉神経上核は、細胞構築学的に区別可能で、(6)咬筋神経の電気刺激で単シナプス性の興奮性入力があり、開口に応答するニューロンが存在する。 27年度の後半に、咀嚼筋筋感覚の視床内の入力部位の検討も開始した。感覚の弁別機能に関わる視床の後内側腹側核の尾腹内側部(VPMcvm)と、痛覚の入力が有り自律神経機能にも関わるparacentral nucleusに終止することが明らかになりつつある。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ネコなどの実験の結果より、Vmesニューロンが、閉口筋筋感覚と歯根膜感覚を三叉神経上核に伝達すると言われている。また、今世界中で最も利用されているPaxinos and WatsonのRat Brain Atlasには三叉神経上核が同定されている。このような状況であったので、本研究を申請する時点では、Paxinos and WatsonのRat Brain Atlasに従って同定した三叉神経上核からの投射部位の解明が、閉口筋筋感覚と歯根膜感覚の投射部位を解明することになると考えられた。 しかし、上記の「研究実績の概要」に記載した様に、Paxinos and WatsonのRat Brain Atlasに記載された三叉神経上核の位置は間違っていること、また、ラットのVmesニューロンは歯根膜感覚をほとんど伝達せず、他の動物とは異なることが、26年と27年の本実験中に明らかになった。よって、本研究の遂行のために、当初の予定に反し、ラットの三叉神経上核の同定を我々自身でやり直さねばならないことになった。 結果的に、27年度の研究によって、実験開始前には予想していなかった新事実が、上記の「研究実績の概要」に記載した様にいくつも得られている。これら、当初予想していなかった新事実は、本研究の完遂の重要性を支持しているので、28年度に継続して行うつもりである。
|
Strategy for Future Research Activity |
28年度は、本申請研究の最終年であるので、咀嚼筋筋紡錘の感覚の三叉神経上核から感覚の一大中継部位である視床への投射部位と、視床から前頭前皮質(ストレスを含む自律機能に関与する部位)への投射の様態を解明し、前頭前皮質-三叉神経中脳路核路が持つfeedback controlの様態を明らかにする研究を精力的に行う。 研究分担者5名との連携をこれまで以上にはかり、研究の一層の推進に努力する。また本研究費で雇用する予定の研究協力者(特任研究員)とともに、研究の成就に向け、これまで以上に頑張る予定である。
|
Causes of Carryover |
本研究の申請書にも書いた様に、本実験の遂行の為には、研究協力者として特任研究員を研究期間であるH26年度からH28年度の3年間にわたって雇用する必要が有る。このために、H26年度、27年度分を、交付額の少ない28年度に繰り越す必要が有った。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰越金で特任研究員を雇用し、研究協力者として本研究の遂行に貢献して頂く。
|
Research Products
(8 results)
-
-
-
[Presentation] ラット三叉神経上核の同定2016
Author(s)
佐藤文彦、藤尾隆史、加藤隆史、吉田篤
Organizer
第121回日本解剖学会
Place of Presentation
福島県郡山市ビッグパレットふくしま
Year and Date
2016-03-27 – 2016-03-29
-
-
-
-
-