2015 Fiscal Year Annual Research Report
病原微生物と口腔医学からみた歯周病感受性の分子基盤
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26293393
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
田中 芳彦 福岡歯科大学, 歯学部, 教授 (00398083)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣藤 卓雄 福岡歯科大学, 歯学部, 教授 (10189897)
永尾 潤一 福岡歯科大学, 歯学部, 講師 (30509047)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 口腔細菌学 / 歯周病 / P.gingivalis / 細胞遊走 / 免疫応答 |
Outline of Annual Research Achievements |
歯周病は国民の多くが罹患しており、口腔内細菌感染によって引き起こされる疾患であり、歯を失う最も大きな原因となっている。歯周病の発症と進行には免疫応答が関与しており、Th17による免疫応答と歯周病の関係が示唆されているが、未だに詳細なメカニズムは不明である。歯周病原細菌と宿主免疫応答の両側面からの網羅的なアプローチによって、免疫細胞の分化と遊走に焦点をあて、全身の免疫応答による歯周病感受性を解明することで、歯周病に対する新しい治療法の開発へ向けた分子基盤を確立することを目指している。研究代表者は、研究計画に従って以下の成果を得た。 1)ヘルパーT細胞Th17への分化能を、IL-17の産生を指標としてFACSで評価した。前年度の研究成果に基づき、IL-17の産生能を有する分画成分を逆相高速液体クロマトグラフィーによって分離して解析することで、ヘルパーT細胞Th17への分化能をもつフラクションを得た。プロテオミクス解析を行ったところ、候補となるタンパク質が数多く得られた。加えて、研究計画に従って主要な物品として本科研費で購入した二次元電気泳動装置を有効に活用し、ターゲットをさらに絞り込んでプロテオミクス解析を実行することで、いくつかの有力な候補となるタンパク質を特定した。 2)全身における歯周病感受性に関わる免疫細胞動態の解析のために、蛍光標識したP. gingivalisをマウスに投与し、樹状細胞の取り込みへの影響を解析するとともに、全身の各種組織におけるTh17細胞の局在を解析した。 3)平成27年度の研究計画に従って、マウス腸管内にP. gingivalis投与して全身におけるTh17細胞の誘導を解析した。また、P. gingivalis感染歯周病発症モデルマウスを用いて歯周病発症の評価を開始するとともに、小動物用X線CTスキャナを用いて3次元再構築による解析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヘルパーT細胞に対する歯周病原細菌の免疫原性部位の同定するために、研究計画に従って平成27年度に本科研費で購入した二次元電気泳動装置を有効に活用することで、的を絞り込んだプロテオミクス解析を実施することができた。それによって、いくつかの候補となるタンパク質を特定し、本研究課題が大きく進展した。また、全身における歯周病感受性に関わる免疫細胞動態の解析について、P. gingivalis感染歯周病発症モデルマウスを用いて歯周病発症の評価を進めており、計画に沿って進行していることから、予定通りにおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究はおおむね順調に進行しており、予定通りの研究計画に従って研究を実施していくことで、成果をあげていく。 P. gingivalis反応性ヘルパーT細胞を全身投与された歯周病発症モデルマウスを解析することで、免疫細胞の生体内での分布と局所への細胞動態を明らかにする。また、歯周病発症に関わるT細胞の分化・遊走に影響を及ぼすシグナル経路の解析を進める。
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Causes of Carryover |
研究計画に従って本研究課題は順調に進行しているが、当該年度に計画していた全身における歯周病感受性に関わる免疫細胞動態を解析する実験計画のうち、計画どおりに進まない場合に必要となる光照射で色が変わるトランスジェニックマウスを用いての実験が実施可能な状況となったため、予算の一部を次年度に使用することとした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
動物実験、細胞培養、生化学的実験といった研究計画にある実験を実施するために、翌年度分として配分される研究費と合わせて使用する。
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Research Products
(10 results)
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[Journal Article] Intronic regulation of Aire expression by Jmjd6 for self-tolerance induction in the thymus.2015
Author(s)
Yanagihara, T., Sanematsu, F., Sato, T., Uruno, T., Duan, X., Tomino, T., Harada, Y., Watanabe, M., Wang, Y., Tanaka, Y., Nakanishi, Y., Suyama, M., and Fukui, Y.
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Journal Title
Nature Commun.
Volume: 6
Pages: 8820
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Presentation] Functional analysis of a novel immune signaling molecule involved in Th2-mediated allergic response.2015
Author(s)
Hashimoto, M., Nagao, J., Tasaki, S., Narita, Y., Cho, T., Yuasa, K., Tanaka, Y.
Organizer
The 44th Annual Meeting of The Japanese Society for Immunology.
Place of Presentation
Sapporo
Year and Date
2015-11-18 – 2015-11-20
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