2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26293395
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
宿南 知佐 広島大学, 大学院医歯薬保健学研究院, 教授 (60303905)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
滝本 晶 京都大学, 健康長寿社会の総合医療開発ユニット, 特定助教 (00378902)
秋山 治彦 岐阜大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60402830)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 発生・分化 / 腱 / 靱帯 / 硬組織 / 遺伝子改変動物 |
Outline of Annual Research Achievements |
硝子軟骨・腱/靱帯付着部から骨・腱/靱帯付着部への移行過程の解析では、川本法によって腱・靱帯付着部組織の非脱灰切片を作成し、硝子軟骨 (II型コラーゲン, コンドロモジュリン-I, Sox9)、腱・靱帯 (I型コラーゲン, テノモジュリン、Scx)、骨 (アルカリフォスファターゼ、Runx2、Osterix、オステオカルシン、スクレロスチン)の分子マーカーの発現局在を解析した。その結果、線維軟骨性の付着部形成過程で、アルカリフォスファターゼ陽性細胞が出現し、石灰化線維軟骨では、Wntシグナルのアンタゴニストで骨細胞に特異的に発現しているスクレロスチンの発現が誘導されることが明らかになった。Scx遺伝子のエクソン1の大部分をCre-recombinaseによって置換したノックインホモマウスを用いた解析では、Scxの欠失によって付着部線維軟骨細胞層の著明な形成不全が観察された。また、個体レベルでScxの発現を忠実に再現する10.8 kbのゲノム領域を用いて、ScxCreERT2トランスジェニックマウスのファウンダーから6つの系統を確立している。タモキシフェンによるCre-recombinaseの発現を解析するために、レポーターマウスであるROSA26やTomatoを発現するAi14と交配している。また、当初の予定には含まれていなかったが、TALENを用いたゲノム編集によって、Scxの欠失マウスを作成し、既に複数の系統を確立している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成26年度に予定していた腱・靱帯付着部の組織学的解析によって、これまで知られていなかった石灰化線維軟骨細胞層でのスクレロスチンの発現が明らかになった。また、Cre-recombinaseをScxの遺伝子座にノックインホモマウスの解析によって、付着部軟骨形成にScxが必須であることを明らかにしただけでなく、ゲノム編集技術を用いてScx欠失マウスの系統を新たに樹立することにも成功した。更に、ScxCreERT2の系統の樹立も完了し、タモキシフェン誘導によるCre-recombinaseの誘導を解析するためのレポーターマウスとの交配も順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画には含まれていなかったが、ゲノム編集技術であるTALENを用いてScx欠失マウスの系統を確立することに成功したので、今後は、この欠失マウスを用いて、Scxのin vivoにおける役割を解析していく予定である。
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Causes of Carryover |
当初予定していたよりも、遺伝子改変動物の維持費用が少なかったため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
新たに樹立したScx欠失マウスの維持費用に用いる予定である。
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Research Products
(9 results)