2014 Fiscal Year Annual Research Report
歯周病細菌による歯周病発症機序および全身性疾患発症増悪の分子基盤解明
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26293401
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
大原 直也 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (70223930)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中山 真彰 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (10579105)
井上 哲圭 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (20223258)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 歯周病原細菌 / 歯周病 / 病原因子 / シグナル伝達 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、歯周病原細菌と宿主細胞間の感染現象をP. gingivalis の病原性プロテアーゼジンジパインに着目し、宿主細胞機能に対するジンジパインの作用の解析から歯周病態発症の解明を目指す研究である。平成26年度の研究計画では、病態発症におけるジンジパインの重要性を調べるために、遺伝子組換えによるジンジパイン完全欠損株とその野生株を用いた感染実験による比較解析を行った。宿主細胞における重要な細胞内シグナル伝達経路であるPI3 kinase/Akt経路は、細胞の生存・増殖、細胞分化、グルコース代謝、タンパク質合成など多岐に渡っており、この経路へのジンジパインの影響に関して感染実験を行った。その結果、我々は歯周病原細菌P. gingivalisの感染によってPI3K/Akt経路の抑制を明らかにした。またその成果では2つの重要な知見を得ることができた。1つは、PI3K/Akt経路の抑制には、ジンジパインの酵素活性が重要であり、PI3Kと連結していると考えられる膜タンパク質の切断がPI3KおよびAktの抑制を惹起していることを示した。さらには、PI3KやAktの抑制は、P. gingivalisの細胞内侵入や産生されたジンジパインの取り込みによる細胞内からの作用ではないことが考えられた。これらの結果を平成26年度の実績として、2015年1月にThe Journal of Biological Chemistryへ論文報告を行った。本研究で得られた知見をもとに、継続的および発展的研究として平成27年度の研究計画と関連させ、歯周病態発症におけるジンジパインの重要性を明らかにしていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定にそって概ね遂行することができ、その結果として、研究実績の概要に示すとおり、2つの重要な知見を得ることができた。さらにその成果を誌上で発表したため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度、概ね計画どおりに遂行することができたため、研究の方向性を大きく変更することなく、進めていく。
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Causes of Carryover |
概ね計画どおりに遂行したが、分担研究者のひとりが病気のため休職することになり、当該分担研究者を中心に行う予定であった一部の実験の遂行計画を遅らせることになった。そのため、消耗品費を中心に次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
26年度に計画し、実行できなかった内容を含め、平成27年度計画を遂行する予定である。そのため、26年度使用しなかった費用を含めて今年度使用する予定となっている。なお、26年度病気休職となった分担研究者の復帰の予定が不明なため、平成27年度は分担研究者から外す計画になったが、当初その者が行なう予定となっていた当該研究内容については、研究協力者とともに研究代表者や他の研究分担者で行う予定である。またデータ処理を迅速かつ適切に行うことにより、研究全体を早く進めるため、その内容に長けた研究者を新たに分担研究者としてお願いした。
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Research Products
(10 results)