2014 Fiscal Year Annual Research Report
長期的な抗菌剤徐放を可能とするハイドロゲルの開発と各種レジン系材料への応用
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26293409
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
今里 聡 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (80243244)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 淳一 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (50530490)
高橋 雄介 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (60397693)
岩崎 泰彦 関西大学, 化学生命工学部, 教授 (90280990)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 歯学 / 歯科材料学 / 抗菌性材料 / ハイドロゲル / ドラッグデリバリー |
Outline of Annual Research Achievements |
HEMA/TMPTが10/90、30/70、50/50、70/30、または90/10の重量比からなるハイドロゲル粒子(平均粒径500μm)の試作に成功した。5種のハイドロゲルの吸水率と疎水度は、ともにHEMAの割合が多い程増加する傾向を示した。ゼータ電位測定の結果、いずれのハイドロゲル粒子も負の表面電荷を有し、HEMA50%/TMPT50%以上でその値が大きくなった。 浸漬法により試作ハイドロゲルにCPCを担持させた場合、HEMA50%/TMPT50%粒子では48時間までの持続的なCPCの水への溶出が認められた。また、Triton X-100、NaCl、尿素水溶液への溶出挙動から、試作ハイドロゲルへのCPCの担持には疎水性相互作用が主に関与していることが分かった。さらに、HEMA50%/TMPT50%のモノマー組成に、0.5、5、または10重量%のCPC粉末を予め添加する方法で担持させると、0.5%添加試料では20日間まで、5および10%添加試料では120日間におよぶCPCの水への溶出が認められた。 Streptococcus mutans、Lactobacillus casei、Enterococcus faecalis、Candida albicansの4菌種に対するCPCのMIC値は、いずれも1.6μg/mL以下であった。重合前添加法による0.5、5、および10%CPC担持ハイドロゲル粒子は、寒天平板法において上記4菌種すべてに対して抑制を示し、とくに10%CPC添加で最大の抑制が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度の研究実施計画に則り、ハイドロゲルの作製とキャラクタリゼーション、CPCの担持・溶出挙動に関する検討、および抗菌性評価を行い、上述のような結果を得た。 以上のことから本研究は、おおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度においては、初年度の研究で組成を確定したハイドロゲルを用いて、CPCのリチャージ性能を評価する。とくに、リチャージの時間やタイミング、使用するCPC濃度等、条件の違いによるリチャージ後のCPC溶出挙動の変化を詳細に検討し、種々の臨床使用条件・環境におけるCPC担持ハイドロゲルの有用性について考察する。 さらに、In vitroでの細胞親和性評価として、試作ハイドロゲル上での線維芽細胞または骨芽細胞様細胞の付着・増殖をSEM観察およびMTTアッセイにより検討する。 また、試作ハイドロゲル配合によるレジンの物性への影響を検討することを目的として、試作ハイドロゲルをMMAレジンに各種濃度で添加し、水中保管後の曲げ強さ等を評価することにより、試作ハイドロゲル配合による物性への影響の基本的情報を採取する。
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Causes of Carryover |
CPC担持ハイドロゲルの抗菌性評価を行ったところ、寒天平板法にて明らかな抗菌性発現を認めたため、菌数測定法による定量評価は必要とせず、菌数測定に係るキットや消耗品を平成26年度に購入する必要がなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、新たに細胞を用いた検討を行う予定であり、細胞培養のための培地、試薬、器材を購入する。さらに、細胞への親和性評価に用いる試薬やキットの購入が必要となる。また、これらの研究遂行に係る消耗品は、上記の研究計画に則り必要性を吟味し効果的に使用する。
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Research Products
(11 results)