2015 Fiscal Year Annual Research Report
認知症患者の尊厳への思いを測定する尺度と評価法の開発に関する研究
Project/Area Number |
26293445
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
太田 勝正 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60194156)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大竹 恵理子 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, 国立看護大学校, 講師 (10423849)
新實 夕香理 聖隷クリストファー大学, 看護学部, 准教授 (20319156)
池上 千賀子 (曽根千賀子) 長野県看護大学, 看護学部, 助教 (40336623)
山田 聡子 日本赤十字豊田看護大学, 看護学部, 教授 (80285238)
前田 樹海 東京有明医療大学, 看護学部, 教授 (80291574)
松田 正己 東京家政学院大学, 現代生活学部, 教授 (90295551)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 看護学 / 解析・評価 / 尺度開発 / 尊厳 / 認知症 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、自らの思いを自分自身では的確に表出、表現できない認知症患者について、医療・看護ケアの基本である尊厳の尊重をどの程度確保できているのかを、患者に代わって他者がより高い信頼性と妥当性を備えて評価できる尺度の開発とその評価法(スコア算定法)の検討を目的とするものである。 平成27年度は、4箇所の医療施設においてインタビュー調査を行った。対象は、認知症と診断されている患者11名について、その家族とその患者をケアしている看護師のペアを7組、同じ認知症患者を受け持っている看護師のペアを3組、さらに看護師単独で1名である。インタビューと共に患者尊厳尺度(iPDS)日本語版にも回答してもらった。 (1)対象選択のもととなった認知症患者の平均年齢は81.0歳であり、その患者に関するインタビューに応じてくれた家族(7名)の平均介護年数は5.3年、平均年齢は64.1歳だった。一方、その患者を受け持った看護師(14名)については、看護師経験平均年数が14.4年、平均年齢が39.9歳だった。(2)得られたiPDSのスコアは、家族と看護師間のペアで評価が一致しなかった項目が、尊厳に対する期待については35項目中25項目、満足度については35項目中15項目あり、一方、同じ患者を受け持つ2人の看護師間で評価が一致しなかった項目は、尊厳に対する期待については35項目中2項目、満足度については35項目中14項目だった。 認知症患者自身からiPDSへの回答を得ることはできないため直接的な比較はできないが,今回,家族による評価は看護師による評価よりも、過大であったり過小であったりするものが多く見受けられた。このことは、他者による評価としては、家族よりもむしろ看護師による評価の方がより的確に患者の尊厳への思いを捉えている可能性を示唆するものと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
インタビューについて、調査協力に応じてくれる施設を獲得すること、および、その施設において家族と看護師のペアを得ることについては、当初より困難が予想されていた。そのため、広範囲かつ繰り返しの調査依頼を行ったが、予定したインタビュー件数を得るのにその予想を大幅に超える時間を要した。 しかし,年度内になんとか予定件数を獲得することができた。現在、データの整理、解析を進めているところであり,若干の遅れは生じているが、次の段階の質問紙調査に向けて準備を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
H27年度に行ったインタビュー調査の結果から、(1)認知症患者の家族による評価、(2)その患者を受け持つ看護師による評価について、信頼性・妥当性を検討し、患者尊厳尺度(iPDS)日本語版の質問項目の精選、修正を行う。併せて、今後の質問紙調査の対象として、認知症患者の家族を含めるかどうかについて再検討を行う。 修正版の調査票を用いて、上記で再検討した対象について本年度中に認知症患者に代わってその尊厳への期待と満足度をより的確に評価できるようにするための尺度開発のための調査を実施する。併せて、評価対象を入院患者だけではなく、施設入所高齢者に拡大した場合の尺度の有用性についても調査を進めたいと考えている。
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Causes of Carryover |
インタビュー調査の協力者獲得に時間を要したため,全国レベルの質問紙調査の依頼,実施がH28年度に食い込んだため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
修正版の調査票を用いた全国レベルの質問紙調査に関する経費,および成果報告や最新の研究動向を探るための国内外の学会への参加費,旅費等,研究会議のための旅費等の経費に当てる。
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Research Products
(7 results)