2014 Fiscal Year Annual Research Report
看護職・介護職による災害時要援護者二次トリアージの開発
Project/Area Number |
26293455
|
Research Institution | Japanese Red Cross College of Nursing |
Principal Investigator |
小原 真理子 日本赤十字看護大学, 看護学部, 教授 (00299950)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河原 加代子 首都大学東京, その他の研究科, 教授 (30249172)
石田 千絵 東京医療保健大学, 看護学部, 准教授 (60363793)
齋藤 正子 東京家政大学, 看護学部, 講師 (30738232)
菅野 太郎 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60436524)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 要援護者トリアージ / 災害多発国 / 福祉避難所 / 救援者の連携 / 搬送 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成23~25年度は、住民による要援護者の避難所部屋割りトリアージを「要援護者トリアージ」と名付け、住民が実施できる避難所の部屋割り基準と実施方法の開発と検証を行ってきた。平成26~28年度は、地域住民が行った要援護者トリアージ後の、看護職を中心とする専門職が引き続き行うべき対応「要介護者2次トリアージ」の基準と実施方法の開発を開始した。さらに「要援護者トリアージ」の研究成果を活かし、平成26年度から3年間計画で、平時の継続した防災教育の一環として「バングラデシュにおける災害多発地域の村レベルのリーダーを対象とした地域防災・減災保健支援活動プログラムの開発」を目的とした研究活動にも着手した。 平成26年度「要介護者2次トリアージ」の取り組みの第一段階として、文献検討を進めつつ、東日本大震災で避難所運営や搬送に携わった看護職と介護福祉職を対象としたグループフォーカスインタビューを行い質的に分析した。この結果、避難所における看護職・介護職の災害時要援護者への対応の特徴を見出すことができた。 さらに「バングラデシュにおける地域防災・減災保健支援活動プログラム開発」の内容は、アクションリサーチを基盤として、1)防災意識や防災活動について村のリーダーを対象とした調査活動、2)調査の結果からニーズに基づいたプログラムの実施(3回)と評価を行うことである。研究活動に対しては、バングラデシュ赤新月社 (以下、BDRCS)に所属する2名にカウンターパートとして研究協力の承認を得た。平成26年度は文献検討、研究倫理審査の承認、バングラデシュにおける活動を2回実施した。1回目(平成26年8月)にバングラデシュの災害多発地域の母子保健センター(以下、MCHセンター)の現地調査、BDRCS本社の研究協力の依頼と承認の取得、研究参加者の選定を行った。2回目(平成26年12月)は、村レベルのリーダー79名を対象に地域防災支援プログラムを開催した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度より3年間で、「要介護者2次トリアージ」の基準と実施方法の開発を行う予定であるが、第一段階にあたる平成26年度は、概ね予定通り以下の特徴を見出すことができた。1)個だけでなく集団を対象とする視点、2)様々な医療機関や消防、区役所等他機関の状況を検討する視点、3)医療と生活に対する広く深い予測的視点を有する支援対象は、個人から避難所で生活をする集団すべてを対象としていた。導き出された特徴は、過去の文献と比べても新規性が高いものであると評価できた。また、3年間の研究の主幹となる平成27年度のインタビューに向けて、重要な方向性を示す内容であった。以上のことから、概ね十分な達成段階にあると考えた。 平成26年度の「バングラデシュにおける地域防災・減災保健支援活動プログラム開発」についての研究活動は、概ね予定通り達成できた。本学倫理審査委員会の承認を受けた。その後、バングラデシュを訪問、災害多発地域における村のリーダーを対象に防災意識や防災活動についての調査を通し、村のリーダー格の防災意識や防災活動の現状、防災に対するニーズを見出すことが出来た。また、その結果を踏まえカウンターパート、村レベルの防災リーダーの参加を得て、地域防災プログラムの一環としてセミナーを実施し、評価を行った。一連の活動を通して、成果として以下の2点を見出すことができた。1点目は、開催したセミナーが防災知識の習得、防災意識の啓蒙に繋がったこと、2点目は、国外における継続した防災教育であるため、活動に不可欠であるBDRCSのカウンターパート、MCHセンターの協力を得ることができたことである。課題は、村のリーダー格による村での防災活動をいかに展開、継続していくかである。 以上のことから、3年間の研究の主幹となる重要な内容を開始できたことから、概ね十分な達成段階にあると考えらえた。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成27年「要介護者2次トリアージ」については、避難所における看護職・介護職の災害時要援護者への対応の特徴として、1)個だけでなく集団を対象とする視点、2)様々な医療機関や消防、区役所等他機関の状況を検討する視点、3)医療と生活に対する広く深い予測的視点を有することが考えられた。そこで、今後の「要援護者二次トリアージ」の開発では、この3つの視点を柱としてインタビューガイドを作成し、平成27年度7月までに倫理審査委員会の承諾を得たうえで、8~10月に東日本大震災で避難所活動を経験した看護職7名を対象に個別インタビュー、そして内容分析を行い、要援護者2次トリアージの基準を抽出する。さらに、2次トリアージの基準を広く看護・介護職に活用してもらうための、教育教材の開発準備として、シミュレーション実施方法の検討も行う。また、平成28年度に要援護者トリアージの基準を客観的に評価するための準備として、平成27年度は、シミュレーションのための要援護者モデルの検討と事例の半自動作成法の検討も行う。 平成27年「バングラデシュにおける災害多発地域の村レベルのリーダーを対象とした地域防災支援プログラムの開発」については、バングラデシュへの訪問を2回予定している。訪問時には研究対象地域の踏査を通して、前回の地域防災支援プログラムの定着の有無や程度、カウンターパートの活動状況を確認する。その内容を活かした防災プログラムを開催する。開催後は評価を行い、随時、現地の状況に応じた内容を村レベルの防災リーダーとともに実施していく。 同時に、災害看護学会などの学会への発表を予定している。これらの研究活動から研究を推進していく予定である。
|