Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度~平成27年度は,平成25年度までの研究課題「乳がん体験者の術後上肢機能障害予防改善に向けたモデルの開発と有効性の検討(課題番号22592435)」である腋窩リンパ節郭清術を受けた乳がん体験者の比較対照試験による術前,術後1週,1か月,3か月,6か月,1年,1年6か月,2年,2年6か月,3年に,3年6か月,4年,4年6か月,5年を加えた術後5年間の長期介入効果を上肢機能と生活機能(上肢障害評価表),リンパ浮腫および運動障害を予防するセルフケア行動およびセルフケア達成度,QOLによる検証及び「乳がん体験者の長期リハビリケアプログラムの構築に関する研究」に向けて,オーストラリアFlinders Medical Centre(FMC)における乳がん体験者の長期フォローアップの視察を目的とした。 術後5年までの介入プログラムの効果検証を目的とした調査対象は,平成28年3月現在,介入群が術後3年以降2名(死亡・転院)脱落し,術後5年までの調査終了者24名,継続者11名(計35名),対照群は3名(死亡・転院・体調不良)脱落し,調査終了者11名,継続者13名(計24名)である。中間解析では介入群が対照群と比較して,腕の痛みやしびれなどを自覚している者が少なく,リンパ浮腫・運動障害を予防する行動を習慣化し,教育効果が示唆された。 オーストラリアFMCにおける乳がん看護の視察は,「乳がん診断後の生活を再構築を促進する支援」(第1報),「乳がん関連リンパ浮腫ケア」(第2報)と題し,東北大学医学部保健学科紀要で報告した。FMCにおける乳がん看護,特にスペシャリストによるケアは多職種と協働で自律した実践がされていた。乳がん体験者や家族は,がん診断から治療の段階,それ以降の各段階で求められるサバイバーシップ獲得のために必要な情報が提供され,資源が準備されていた。乳がん体験者の生活と人生の再構築を促進するリハビリケアプログラムは,がん体験者の意思や能力,治療段階,資源,実効性などを考慮して構築する必要性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本調査は「乳がん体験者の術後上肢機能障害の予防改善に向けた介入プログラム」の長期効果を術前から術後5年まで,対象1名に原則14回の介入と縦断調査によって明らかにすることを目的としている。平成28年3月までに術後3年以降の対象者は64名から5名脱落し59名(介入群35名,対照群24名)に減少しているものの概ね確保している。術後5年までの調査終了者は現在35名(63%)であるが,平成28年度前期までに8割のデータが確保でき,対象者の質的データを解析に加えることによって一定の成果が得られる。 また,平成27年度に海外視察で収集した情報が次の課題にいかせる。
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