2015 Fiscal Year Annual Research Report
地域終末期ケアを支える医療と介護の連携促進プログラムの開発と有効性の検討
Project/Area Number |
26293481
|
Research Institution | Japanese Red Cross College of Nursing |
Principal Investigator |
福井 小紀子 日本赤十字看護大学, 看護学部, 教授 (40336532)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 淳子 日本赤十字看護大学, 看護学部, 准教授 (10553563)
池崎 澄江 千葉大学, 看護学研究科, 准教授 (60445202)
辻村 真由子 千葉大学, 看護学研究科, 准教授 (30514252)
乙黒 千鶴 日本赤十字看護大学, 看護学部, 助教 (50613931)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 在宅看護 / 地域包括ケア / 多職種連携 / 在宅終末期ケア |
Outline of Annual Research Achievements |
3年計画で行う本研究の2年目は、以下の2つの研究活動を進め、成果をまとめた。1つ目は、静岡県西伊豆地域住民を2分の1無作為抽出した5000名に対する「地域終末期ケアに関するニーズ」調査を実施し、結果をまとめた。在宅看取り希望を高める要因として、ロジスティック回帰分析の結果、高齢、男性、職業あり、経済的ゆとりが低い、健康相談相手がいる、病院以外の健康相談の場を利用したいと考えている、自宅看取り経験がある、介護をしてくれる家族がいる、居住地域に対するコニュニティ意識(地域に対する協働志向)が高い、地域の医療介護への安心感が高いという10変数が導かれた。この結果から、住民の在宅看取り体制構築の理解促進のためには、自宅看取りの経験者による住民への伝達・周知の機会を設けること、地域全体で日ごろからの医療介護専門職による医療や健康等の相談機能を充実させること、行動化できる住民を主軸とする住民間の交流の場作りを行うこと、自らの地域における医療介護体制を考える機会や自らや周囲の人の看取り場所を考える機会を作り、死生観を住民全体で醸成する場を作っていくことが有用な活動となることが考察された。 2つ目は、1年目に実施した取り組み(地域終末期ケアに関する系統的文献検討、米国における地域終末期ケアの多職種連携に関する現地調査、及び国内4地域(別府市、盛岡市、須高地域、西伊豆地域)の医療介護職に対する調査結果)を統合し、訪問看護師、ケアマネジャー、介護職(サービス提供責任者)の3職種向けの「終末期医療介護連携プログラム(案)」を作成した。そして、訪問看護師、ケアマネジャー、介護職3職種それぞれを5名ずつ集めたフォーカスグループインタビューを実施し、研究班で作成したプログラム案について内容および実施可能性についての意見を頂き、反映させることで、「終末期医療介護連携プログラム」を完成させた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調に進展している。 3年計画で本研究を終えることを想定して、1年目の成果を基に、2年目に行う内容を計画的かつ着実に実施したため。
|
Strategy for Future Research Activity |
最終年度の3年目は、予定通り、2年目に完成した「終末期医療介護連携プログラム」を用いて、対象地域K市の職種(訪問看護師、ケアマネジャー、介護職)への連携意識と行動、およびこれらの3職種のケアを受けた遺族における連携とケア評価に対する効果を無作為化比較試験にて検証する。K市の3職種の職能団体幹部および行政担当者からの協力体制は整っており、順調に介入研究が進展する予定である。
|
Causes of Carryover |
2年目の平成27年度の計画の中で、当初は、対象地域の医療介護職に対する在宅終末期ケア体制のあり方、ケア提供実態、連携実態を尋ねるインタビュー調査と質問紙調査を予定していたが、職種への質問紙調査は初年度に行い、その際に多面的な成果を得ることができ、その結果を基にプログラムを完成することができたことから、インタビュー調査のみの実施にとどめた。このため資金面での余裕ができた。一方、最終年度の介入研究協力地域として、人口140万人のK市の全訪問看護師、全ケアマネジャー、全介護職のうちのサービス提供責任者を対象とする研修会と開発した終末期医療介護連携マニュアルを用いた効果判定のための介入研究を実施する運びとなった。当初予定していた介入規模より大規模に3職種向けにマニュアルを用いた研修会の実施が可能な見込みができたことから、その分の資金を最終年度に使用したいと考える。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度に、人口140万人の全訪問看護師約250名、全ケアマネジャー約450名、全介護職のうちのサービス提供責任者約450名のうち、研究協力意向を示した参加者に向けて、「終末期医療介護連携マニュアル」を解説し実践する研修会を年間4回開催する。これを介入内容として、3職種およびケアを受けた利用者の家族に対する評価を測り、プログラムの効果検証を行う。
|