2014 Fiscal Year Annual Research Report
アブラナ科植物の伝播・栽培・食文化史に関する領域融合的研究
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26300003
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Research Institution | Otani University |
Principal Investigator |
武田 和哉 大谷大学, 文学部, 准教授 (90643081)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 正夫 東北大学, 生命科学研究科, 教授 (90240522)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 科学技術史 / 育種学 / アブラナ科植物 / 食文化 |
Outline of Annual Research Achievements |
2014年度は、まず科研班発足に係る打ち合わせ会議を山形市内で開催し、人文系・農学系双方の研究者が、それぞれの専門分野の立場からの問題提起と研究方針に関する意見を述べあい、討論をおこなった。ひとまず、日本国内および日本から近い東アジア諸国での調査を実施することとし、また調査団は人文系・農学系の双方より研究者を選んで編成することとした。 海外調査は、8月に中国国内で実施した。陝西省では西北科技農林大学を訪問して、蔬菜史研究中心の諸先生方と交流を行い、次年度以降も交流を継続していくことで一致した。その後、青海省・甘粛省を訪れて、現地関係機関の担当者との交流や施設見学、市場見学などを行った。 国内調査は長野県内で行い、大町市・野沢温泉村などで地場野菜の栽培・流通・食文化および地域振興における地元野菜の活用手法等に関する調査・視察等を行った。 以上のような活動を踏まえて、2月には京都府亀岡市内で調査成果・諸活動等の報告会議を実施し、当該年度の調査手法や効果等も含めて検討を行い、併せて次年度以降の研究活動の方針に関する議論を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2014年度は2度にわたり開催した打ち合わせ会議において、人文系・農学系の研究者間において闊達な意見交換・討論が行われた結果、相互の研究手法や課題認識の理解が進み、異分野の研究者間の信頼関係が醸成されることとなった。 また、国外で実施した調査等において経験を共有したり、成果報告会での意見交換や情報交流等を通じて、科研班の具体的な目標や研究活動の内容・課題点等についての共通認識も概ね構築されつつある。 直近の問題点としては、農学系においては今後の調査で得られるであろう各種の遺伝子源をどのようにして効率よく、かつコスト的にリーズナブルなように分析を進めていくのかという点があり、また人文系においてはアブラナ科植物栽培や食文化史の構築のために必要な史資料の収集をどのように効率的かつ確実に進めていくかという点が、それぞれ認識されており、こうした手法上の課題の克服に向けて、今後さらに検討を進めていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2014年度の調査知見や研究手法に関する議論等を集約して、2015年度の調査の遂行時には反映をさせていく予定である。2015年度は引き続き国内外での調査を実施する。海外は、中国をはじめ韓国・台湾などの比較的日本に近接した東アジア地域での調査およびシルクロード周辺地域での調査も予定している。また、国内での調査では、地元野菜の種子・遺伝子源の探索などにつとめつつ、食文化・市場での消費動向などの調査も予定しており、学域の枠にとらわれず、人とアブラナ科植物との関わりについて、多角的視点からとらえなおす研究活動を行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
当初は当該年度3月に台湾での調査を予定していたが、アブラナ科(菜の花)の開花時期が年度末にずれこみ、科研班関係者の校務等との重複により調査団編成が困難となったため、2015年度の調査実施に変更した結果による。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2015年度は、主として国外での調査に主眼をおくこととし、韓国・中国および中央アジア地域での調査を予定している。また、2014年度に実施できなかった台湾での調査については、引き続き開花時期については事前に調査をしつつ、調査の時期や方法を検討していくこととしたい。もしも開花時期での調査実施が、時期的に困難である場合には、別途種子収穫期での調査実施も検討するなどの工夫もしつつ、総じてアジア各地における調査活動を展開していく方針である。
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