2014 Fiscal Year Annual Research Report
ブラジル・セルトンの急激なバイオ燃料原料の生産増加と水文環境からみた旱魃耐性評価
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26300006
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
宮岡 邦任 三重大学, 教育学部, 教授 (70296234)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
仁平 尊明 北海道大学, 文学研究科, 准教授 (60344868)
吉田 圭一郎 横浜国立大学, 教育人間科学部, 教授 (60377083)
山下 亜紀郎 筑波大学, 生命環境科学研究科(系), 助教 (60396794)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 旱魃耐性評価 / セルトン / 灌漑 / カーチンガ / 水文環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
カウンターパートであるペルナンブコ連邦大学とIF Sertaoにおいて調査の内容と対象地域の選定について確認を行った。その結果を基に,対象地域におけるGeneral Surveyと事例調査農場の選定を行った。 対象地域の自然条件や土地利用形態を大局的に把握するために,沿岸域(レシフェ)から内陸部(ペトロリーナ)まで車で移動することで,気候条件の変化に伴う植生の変化について確認した(吉田,2015)。本研究の主な対象地域であるセルトンでは,ペトロリーナとその周辺地域について土地利用および灌漑水路網,貯水池の分布状況を把握し,次年度以降に具体的な調査が実施できる研究対象農場の選定を行った。選定の条件としては,過去に本地域で大きな土地利用形態の変化があった足跡を追うことを前提に,カーチンガ,牧草地,灌漑農地を含んでおり,雇用形態をはじめとした社会経済的な側面,農地の利用形態の変更や施肥による周辺地域への地下水環境の影響の調査が実施できることを念頭に置いた。その結果,2つの農場において次年度以降に継続して調査を行う許可を得ることができた。さらに,次年度の研究遂行に備え,対象農場において観測機器の設置交渉を行った。試験的に土地利用条件の異なる地点において,土壌水分計を設置し,翌年までのモニタリングを行っている状況である。研究の意義について,日本地理学会において発表を行った(宮岡,2015)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画において示した事項について,ほぼ遂行できている。 対象農場において観測井の掘削や観測機器の設置についても許可を得ることができた。カウンターパートの研究機関とも意思疎通が取れており,次年度以降も協力関係が維持できることが確認できており,定期的にメールで連絡を取り合える状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後2年間で以下の事項について調査と解析を進めていく。 1.河川水からの灌漑用水の利用とセンターピボット方式による地下水利用の現状と問題点の抽出を行う。河川水及び地下水の測水調査と季節変化・年々変動の連続観測行う。対象農場において異なる土地利用での貯水池,灌漑用水路,井戸の分布調査に基づき種々の水体の水質について実態を測定し,家畜の行動,作物栽培カレンダーによる水文過程への環境影響を解明する。さらに,可能であれば簡易気象観測機器についても設置し,降水量の変化について連続観測を行う。また,対象農場において土壌水分計による長期モニタリングなども実施しながら,土地利用・植生・土壌分布などの環境地図の作成を行う。 2.対象地域の社会経済機構,周辺住民の生活様式・栄養と衛生状態の現状と問題点の抽出を行う。主要産業が牧畜業からアグリビジネスを主体とする灌漑農業に変化することで,インフラの整備,人口移動,生活様式といった地域社会経済へのリスクについて頻発する旱魃に対する耐性評価を行う。また,地域の社会経済機構の変化に伴う住民の栄養摂取状態と衛生状態について,従来対象地域で問題になってきた貧困がどの程度改善されているのかを検証する。さらに,急激な農地開発の影響により,排水処理に関わるインフラ整備の遅れや施肥による硝酸汚染など,生活用水に関連した衛生状態や健康被害について水質調査の結果と聞き取り調査から検証を行う。
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Causes of Carryover |
現地に設置する観測機器について,設置する地点数が少なかったため次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
引き続き必要に応じて観測機器の設置箇所数を増やしていくため,その都度観測機器を購入することに充当する予定である。
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