2016 Fiscal Year Annual Research Report
ブラジル・セルトンの急激なバイオ燃料原料の生産増加と水文環境からみた旱魃耐性評価
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26300006
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
宮岡 邦任 三重大学, 教育学部, 教授 (70296234)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 圭一郎 横浜国立大学, 教育人間科学部, 教授 (60377083)
山下 亜紀郎 筑波大学, 生命環境科学研究科(系), 助教 (60396794)
仁平 尊明 北海道大学, 文学研究科, 准教授 (60344868)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ノルデステ / 灌漑 / カーチンガ / 水文環境 / 植物活動 / 果樹農業 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度については、自然環境調査と農場での聞き取り調査に加え、「対象地域の社会経済機構、周辺住民の生活様式・栄養と衛生状態の現状と問題の抽出」について取り組んだ。 自然環境調査では、カーチンガ原生林が残り大規模灌漑が実施されていない地域の水利用状態と水文環境について調査を行った。植生環境については、灌漑実施地域と比較できる調査サイトが選定でき、次年度に向けた調査の足がかりを築くことができた。水文環境については、カーチンガ分布地域と灌漑地域の河川・アスーデの水質には顕著な地域性が存在することがわかった。 植物活動と水文環境との関係について、ペトロリーナ郊外に位置するNIAGRO農場内のカーチンガを対象に,詳細な気象観測を実施するとともに,自動撮影デジタルカメラを設置して毎日正午に撮影し,カーチンガの相観の画像を1年分取得した。カーチンガ構成樹木の葉フェノロジーは土壌水分量によく対応しており,特に展葉に際しては,土壌水分量の上昇に極めて敏感に応答し,短期間で素早く展葉していた。これらのことから,カーチンガにおける植物活動は水文気候環境に強く依存していることが明らかになった。また,水文気候環境の変化に対する感受性が極めて高いことから,灌漑農地周辺では,灌漑により生じた土壌水分条件の僅かな差異でも,カーチンガにおける植物活動や植生構造の変化を引き起こす可能性があることが推察された。 灌漑地域における水利用調査の結果、当地域では干ばつが続いているといえる状況にあるが、DINCも農家も、水を節約することよりも作物に必要な水を与え続けることを優先している現状がある。とはいえ当地域では従前から節水灌漑が広く普及していたため、今のところこのことが問題化するには至っていない。むしろすでに節水灌漑が広く導入されているからこそ、干ばつであっても容易にこれ以上用水量を減らすことができないといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
数年にわたる干ばつが現在でも続いており、半乾燥地域における降雨の影響についてのデータがとれていない。一方、農場の聞き取り、自然環境データの取得については順調に進んでおり、当初の目的については順調に達成できている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度にあたる今年度は、これまでの現地調査において取得できたデータの解析を行うとともに、補足調査的に現地調査を行う。また、カーチンガ地域における植物活動、水文環境の調査については、今年度に調査サイトを設定しデータ取得を図る。 それぞれの研究分担者が目的に向けた総括を行い、速やかに成果の公表を行えるように準備していく。
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Causes of Carryover |
現地聞き取り調査の実施と解析に必要な衛星画像について、該当するものが見つからなかったため、継続して検索することにより目的に合致した画像の取得を目指すことにしたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
継続して検索することにより、今年度予定している解析とまとめの際に使用できる画像の購入を目指す。
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Research Products
(6 results)