2017 Fiscal Year Annual Research Report
中国格差社会における「つながり」の生成―基層社会の弱者に対する支援を手掛かりに
Project/Area Number |
26300011
|
Research Institution | The University of Shimane |
Principal Investigator |
李 暁東 島根県立大学, 総合政策学部, 教授 (10405475)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平石 耕 成蹊大学, 法学部, 教授 (00507105)
江口 伸吾 島根県立大学, 総合政策学部, 教授 (20326408)
唐 燕霞 愛知大学, 現代中国学部, 教授 (80326404)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | つながり / 社区 / 自治 / 弱者 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 2017年6月、研究代表者が中国福建省厦門の思明区、集美区の社区で聞き取り調査を行い、社区における各種の活動の展開情況と社区居民委員会の役割を中心に考察した。また、厦門大学の研究者と関連問題について意見交換した。交流を通して、社区研究に関する中国の学者の視点と考えをより良く把握することができた。厦門調査の後、さらに江西省の撫州市を訪れ、現地の研究協力者の協力の下で、儒教などの伝統的文化資源を社区建設に活かす撫州市の社区の実践を視察した。社区建設で動員されている資源は多種多様であることを実感することができた。 2. 2017年9月中旬、研究代表者が北京市海淀区北下関街道で追加調査を行った。当街道の社区は数年前に調査したことがあった。社区において看護施設を設け、デイサービスを提供するなどの試みを始めたが、今回、当事業の発展情況を確認した。社区での創意工夫は絶えず深まったことを確認できた。 3. 2018年3月に、研究代表者が厦門大学で座談会を開き、現地の学者と社区建設のゆくえとその可能性について意見交換を行った。その後、福州に入り、福建師範大学の研究者の協力の下で古楼区の社区で聞き取り調査を行った。社区、社会組織、ソーシャルワーカー三者の連携で社区における「在宅養老」などを推進する実践を確認した。 4.これまでの当科研で得た知見をまとめ、その一部を執筆中の単著の中で活かした。著書は2018年7月に出版する予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究分担者のうち、江口伸吾教授は本務校の副学長に任命され校務で多忙であり、平石耕教授はサバティカル研修で海外に渡航して日本国内に不在であった。また、連携研究者の南裕子教授は、本務校の副学長補佐に任命されている。そのため、本プロジェクトの研究メンバーのほとんどが時間が取れない中で、研究体制を組むことが難しく、研究調査は基本的に研究代表者ひとりでこなし、当初の計画は遅延することとなった。
|
Strategy for Future Research Activity |
1. 5月に研究打ち合わせ会を開催し、一年間延長した今年度の研究計画について話し合い、また、本科研研究の成果をまとめるシンポジウムの開催について議論をする。 2. 8月にこれまでの研究成果を踏まえて追加調査を行い、社区建設の最新情況を確認し、最新データを収集する。 3. 11月末に、海外から研究者を招いて、最終年度シンポジウムを開催する。できれば、日本国内の地域社会の再生の問題との比較の視点を導入して、より充実した議論ができるように努力する。 4. 成果をまとめる。科研メンバーが各々の研究を成果としてまとめ、本学の紀要『北東アジア研究』に特集号を組む予定である。
|
Causes of Carryover |
研究分担者と連携研究者が本務校の副学長や副学長補佐に任命され校務で多忙であり、また、サバティカル研修で海外に渡航した研究分担者もいたため、研究体制を組むことが難しく、当初の計画は遅延することとなった。 次年度は科研の成果をまとめる年であり、春にまとめのシンポジウムの開催をはじめ、年度研究計画をたて、夏にこれまでの研究成果を踏まえて追加調査をして、秋にまとめの国際シンポジウムを開催することにしたい。そして、最終的に科研の研究成果を論文にまとめて発表する予定である。
|