2014 Fiscal Year Research-status Report
カンパーニア州・ナポリに16世紀~20世紀に存在した宿泊施設・ホテル群について
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26300016
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
河村 英和 東京工業大学, 外国語研究教育センター, 東工大特別研究員 (50649746)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | イタリア / カンパーニア州 / ホテル / 歴史 / 芸術 / 観光 / 建築 / ナポリ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究テーマ、イタリア南部カンパーニア州・ナポリに16世紀から20世紀にかけて存在したホテル・宿泊施設についての研究に役立てるための一次史料、関連文献を収集した。たとえば、20世紀初頭に印刷された今は無きホテルの内・外観を写した絵葉書、当時の旅行記や観光ガイドブックにみられるホテルに関する記述などである。 カンパーニア州を代表する観光地カプリ島で最も古い芸術家宿ホテル・パガーノ(1818年創業、現ホテル・ラ・パルマ)に特化した研究は、2018年の開業200周年を目指して、その全史を書籍として刊行できるよう、さらなる研究を続行させた。さらに11月末にローマで開催されたイタリア観光学会では、近年流行しているデザインホテルやアート作品を展示させるホテルの動向と分類について発表し、カンパーニア州内のホテルに留まらず、より広範囲なホテルの実態と傾向についても調べた。 20世紀初頭にナポリを拠点として活躍していたホテルの広告・刊行絵葉書やポスターを専門とするスイスの印刷会社リヒター社(Richter&Co.)についての、イタリア初の研究成果を論文としてまとめ、2015年内に、ナポリ・フェデリコ2世大学付属ヨーロッパ都市図像センター(CIRICE)の刊行する学術誌「Eikonocity」に掲載される予定となっている。 並行して、イタリア滞在中には、イタリアの観光史界をリードする研究者(ボローニャ大学のパトリツィア・バッティラーニ先生、ナポリ・フェデリコ2世大学のアヌンツィアータ・ベッリーノ先生)、ナポリの建築史家(ナポリ・フェデリコ2世大学のファビオ・マンゴーネ先生、アルフレード・ブッカロ先生)たちと意見交換も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究対象への理解をより深めるために、範囲をかなり広げた資料・フィールドワークも行っていた。同分野となる観光学・ホテル史に関するものではあるが、対象となるカンパーニア州以外も含め、広い視野から考察したいと思ってのことだった。関連する資料収集の継続、関連学会での発表や論文執筆を行っているものの、本題の研究テーマに、直結したデータ入力に遅れが生じている。さらに観光学ではあるが、2014-15年度は、富士山の観光図像の歴史についてローマで学会発表をしたり、ファシズム期のプロパガンダ観光絵葉書についての論文執筆など、ホテル史と関連の薄い研究にも多くの時間を割いてしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
それでもカンパーニア州・ナポリのホテル史の理解のためには、ある程度、他の地域のホテル史の理解も重要であるのには変わらないと判断するので、広範囲な資料収集は続けるもの、前年度より量を減らして、学会発表ではイタリアのホテル史に直結したテーマ設定をするなどの工夫をしてゆく。
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