2015 Fiscal Year Research-status Report
カンパーニア州・ナポリに16世紀~20世紀に存在した宿泊施設・ホテル群について
Project/Area Number |
26300016
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
河村 英和 東京大学, 人文社会系研究科, 特任准教授 (50649746)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | イタリア / カンパーニア州 / ホテル / 建築 / 歴史 / ナポリ / 観光 / 美術 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度はミラノ(イタリア)で万博「Expo Milano 2015」が開催され、「食」がテーマとされ、同年9月にパドヴァ大学を会場にして行われた第7回イタリア都市史学会「VII Congresso AISU」では、それに合わせて「食と都市」がテーマとなった。そこで私は、本科研費研究と関連性を持たせられるよう、ホテル建築史のなかから、19-20世紀のイタリア(本科研費研究に直結するナポリも含む)の都市のホテルで供された食事とそのスタイル(table d'hote)や、食堂・ホテル内レストランの内装や家具について特化した研究発表をした。 またナポリのホテルの幾つかは、既存の歴史的建造物をホテルに転用したものであるため、風土特有のナポリ建築史を概観できるよう、一般書籍としてもまとめ、2015年10月に『ナポリ建築王国 -「悪魔の棲む天国」をつくった建築家たち』(鹿島出版会)を刊行した。 さらに19世紀から20世紀にかけて、ナポリを拠点にしていたスイスの印刷会社リヒター社は、20世紀初頭のホテル建築を描いた絵葉書とホテルの広告図像を専門にしていた最大手であるが、そのことについてをまとめた研究論文を、ヨーロッパ都市図像センター(ナポリ・フェデリコ2世大学)が発行する学術誌「Eikonocity」の創刊号(2016年1月)に掲載(pp. 147-160)した。 なお2015年内には、次年度(2016年4月14-16日)にアマルフィとソレントで開催されるカンパーニア州の観光史をテーマにした国際会議「Viaggi e soggiorni in Europa nel primo Ottocento.Oltre Napoli,verso Amalfi e Sorrento(19世紀前半のヨーロッパ滞在と旅行-ナポリを越えてアマルフィとソレントへ)」の審査員として、発表者候補者のアブストラクトの査読・受け入れ判定の審査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」に書いたように、当該研究に関連する内容の研究発表と出版をイタリア語と日本語ですでに幾つか行うことができたが、タイトル通りの研究を総括するのには、まだまだ地道なデスクワークの作業と実地調査を必要とする。一方、資料収集は、カンパーニア州内の図書館だけでなく、ナポリ市内の図書館が収蔵しないナポリに関する資料をロンドンの大英図書館で発見・閲覧することによって、より順調に進めることができ、本年度は昨年よりも膨大な資料を集めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
「現在までの進捗状況」に書いたよう、資料収集は順調に進めることができたが、まだそれをじっくりと読む時間を確保することが前年までにしていない。今後も実地調査と資料収集は必要に応じて続行しつつも、最終年度は今まで集めた情報・資料を租借する時間をつくり、研究成果をまとめる論文執筆作業に入っていけるようにする。
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Remarks |
(1)と(3)のイタリア語論文は、リンク先にPDFの全文があります。
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