2017 Fiscal Year Annual Research Report
Comprehensive research on bibliography,publication and interpretation centered on overseas picture books
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26300020
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Research Institution | National Institute of Japanese Literature |
Principal Investigator |
山下 則子 国文学研究資料館, 研究部, 教授 (40311162)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神作 研一 国文学研究資料館, 研究部, 教授 (30267893)
小林 健二 国文学研究資料館, 研究部, 教授 (70141992)
木越 俊介 国文学研究資料館, 研究部, 准教授 (80360056)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 在外絵入り本 / マリオ・マレガ文庫 / ホノルル美術館 / リチャードレインコレクション / キヨッソーネ東洋美術館 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者はこれまで在伊日本古典籍の調査と目録作成を主導的に進展させ、合計4カ所の文庫の目録を完成させた。その中でもローマサレジオ大学マリオ・マレガ文庫は、当初の目録完成後に東京碑文谷教会で更に日本古典籍が発見され、その追加調査も進めていたのだが、突然ローマサレジオ大学に当該古典籍が送られてしまったため、調査は途中で中断していた。今年度はその残り130点の調査を続行し、文庫内古典籍の整理(帙への装填)も完成させた。更にサレジオ大学図書館長の許可を得て国文学研究資料館HPから、マリオ・マレガ文庫蔵日本古典籍全ての書誌データを検索機能付きで公開した。マリオ・マレガ神父が蒐集した隠れキリシタン資料は世界的に有名なものとなったが、その発見の契機となったのは、当該日本古典籍調査であり、これらの古典籍はマレガ神父の知識体系を知る資料ともなる。4カ所の文庫の在伊日本古典籍目録と、様々な紀要等に発表してきた在伊日本古典籍の稀覯本に関する研究、リチャードレインコレクション稀覯本の研究をまとめて公刊する方向で、出版社に打診し準備を進めた。 本年度のホノルル美術館リチャードレインコレクション調査は、2018年2月26日~3月2日に実行した。今回の調査で合巻類をほぼ完成させ、絵入り折手本も終了した。ホノルル美術館側の要望に応えて書画帖等の資料にも積極的に取り組んだ。また、2017年8月23日には国文学研究資料館にて共同研究会を実施した。内容は伊藤善隆氏「桃隣舎文辰著『池西言水四季独吟評釈』について―近世後期における元禄俳諧評釈―」、山下則子「レインコレクション『獣絵本つくし』の研究―素材としての狩野派絵画・仏教画」、二又淳氏「レインコレクションの黄表紙の中から」等であった。熱心な質疑応答がなされ、研究成果発信の布石となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は研究成果のとりまとめと、リチャードレインコレクションの調査と現地への成果還元に取り組んだ。来年度刊行予定である研究成果物『在外絵入り本―研究と目録』(仮題)の作成準備に取りかかった。 研究代表者は20年近く在外日本古典籍資料の整理と調査、目録作成に携わってきたが、この度それらの成果を出版物にまとめることとし、2017年9月5日~8日にローマサレジオ大学マリオ・マレガ文庫の未調査分の古典籍の整理と調査を完成させた。そして、マリオ・マレガ文庫全体の情報を国文研HPから公開した。合計4つの文庫の在伊日本古典籍目録とそこに蔵される稀覯本の研究、リチャードレインコレクション貴重本の研究を併せて公刊する。英仏米と比べて、その調査が格段に難しい在伊日本古典籍目録を4つも完成させたことは類を見ない成果であり、中でもキヨッソーネ東洋美術館目録は、正確無比な内容である。併せて解題内容の高水準さ、目録の英語表記の試みとしても評価される。 また、本年度のホノルル美術館リチャードレインコレクション調査は2018年2月26日~3月2日に実行した。昨年度来、総合研究大学院大学の資金援助も得て、現地の大学院生や教員学芸員を対象としたワークショップも同時に開催しており、今年度も現地からの要望によりワークショップと調査演習を開催した。3月1日「日本古典籍セミナー・ホノルル2018」と題したワークショップは、今回は特にレインコレクション稀覯本を用いて、その内容を中心に、深くかつわかりやすくビジュアルに説明し、大変好評であった。来年度も開催して欲しいとの強い要望が現地大学院生・教員双方から出された。また、その後の調査演習や補助実習も好評であった。
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Strategy for Future Research Activity |
ホノルル美術館リチャードレインコレクションの調査は、その対象となる日本古典籍の総体量が膨大であるため、しばらく続行される。調査により発見された貴重本を中心として、毎年共同研究会にて研究成果を報告していたが、そのとりまとめとして、今年度末に研究成果物を刊行する予定である。そのため今年度は出版準備に、多くのエネルギーを傾注する。この出版物の内容は、在伊日本古典籍の4つの目録とその解題、及びホノルル美術館リチャードレインコレクションを中心とする在外絵入り本の研究であり、ヨーロッパやアメリカの日本文学研究者や、日本の絵入り本研究者に、在外絵入り本の実態を伝えることにより、多くの貢献をなすものである。加えて勤務先の国文学研究資料館が進めている、日本古典籍画像データベースを用いた国際共同研究にも、少なからぬ関連性を持つものである。 リチャードレインコレクションを用いた日本古典籍のワークショップや調査実習も、現地での反響が大きく、継続して実施することを強く望まれている。ホノルル美術館・ハワイ大学・国文学研究資料館が、ハワイという狭い環境を生かして協力関係を築き上げ、日本古典籍を中心に据えた研究を若い世代に伝えていくプロジェクトは、恐らく世界でも類を見ないものと言えよう。可能な限りこれを持続させていきたい。 リチャードレインコレクションの目録作成に関しては、九州大学の調査団がこれを行うという取り決めを昨年度取り交わしたのだが、その後目録作成の動きがなく、ホノルル美術館関係者から不安の声も上がっている。当方の研究協力者からは部分的に目録作成に協力した方がよいのではないか、との意見も出されており今後の検討としたい。
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Causes of Carryover |
購入すべき絵入り本が、市場にあまり出なかったため、物品費の支出が少なかった。研究分担者の一身上の都合により(ご家族のご逝去)、旅費使用を取りやめたことがあった。 来年度は研究分担者の旅費使用も計画通りに行い、購入すべき絵入り本を探索したい。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(32 results)
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[Book] 浮世絵細見2017
Author(s)
浅野 秀剛
Total Pages
320
Publisher
講談社
ISBN
978-4-06-258660-3
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[Book] 鈴木春信2017
Author(s)
浅野秀剛
Total Pages
192
Publisher
講談社
ISBN
978-4-06-220738-6
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