2018 Fiscal Year Annual Research Report
Comprehensive research on bibliography,publication and interpretation centered on overseas picture books
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26300020
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Research Institution | National Institute of Japanese Literature |
Principal Investigator |
山下 則子 国文学研究資料館, 研究部, 教授 (40311162)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神作 研一 国文学研究資料館, 研究部, 教授 (30267893)
木越 俊介 国文学研究資料館, 研究部, 准教授 (80360056)
武井 協三 国文学研究資料館, その他部局等, 名誉教授 (60105567)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 在外絵入り本 / ホノルル美術館 / リチャード・レインコレクション / マリオ・マレガ文庫 / 絵入り版本 |
Outline of Annual Research Achievements |
1,在伊日本古典籍目録集成を完成させ、マリオ・マレガ文庫の稀覯本に関する研究発表を行った。研究代表者は在伊日本古典籍目録を、既に4カ所作成してきたが、諸般の事情により、調査を中断せざるを得なかったローマ・サレジオ大学マリオ・マレガ文庫の碑文谷教会旧蔵書の調査を完成させて、目録に追加した。先に発表した目録と併せて、これら全ての在伊日本古典籍目録の集成を作成しつつある。また、2018年12月20日に、サレジオ大学図書館にて、マリオ・マレガ文庫の稀覯本に関する研究と、マレガ文庫の古典籍調査の全貌を、イタリアの関係者を対象に日本語とイタリア語で発表した。(MARIO MAREGA TESTIMONE DEL 900「Libri giapponesi antichi nel Fondo Marega delle opere a tampa:caratteristiche e rarita」山下則子) 2,ホノルル美術館リチャード・レインコレクションの調査の継続と、それを活用した現地日本文学研究者達への研究成果の還元。2019年2月25日~2月27日までリチャード・レインコレクションの書誌調査を行い、2月28日には国際共同研究会を開催した。当科学研究費の研究協力者である浅野秀剛氏、伊藤善隆氏の研究発表があり、好評を博した。ハワイ大学の学生・教員・学芸員、国文研の研究者達が約40名参加して聴講した。なお、同研究会では、ハワイ大学のロバート・ヒューイ教授、UC BerkeleyのJonathan Zwicker教授、UBC のJoshua Mostow教授も、研究発表を行った。3月1日には日本古典籍セミナーにて、研究分担者木越俊介准教授が「近世後期の絵入り版本」に関する発表を行った。 3,研究成果報告書『在外絵入り本 研究と目録』のデータ管理・索引作成等の内容の検討と出版準備に取りかかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は、ホノルル美術館リチャード・レインコレクションの調査と現地日本文学研究者達への成果還元、及びサレジオ大学マリオ・マレガ文庫で現地関係者に調査の概要と成果の還元としての研究発表を行った。 研究成果のとりまとめとして、研究成果物『在外絵入り本 研究と目録』の出版準備を進め、研究成果公開促進費の交付が決定された。この出版物の内容は、レインコレクションの絵俳書の板木再利用の研究や、絵入り折手本の研究、近世後期の元禄俳諧評釈書の紹介、師宣絵本の注釈と解説、マリオ・マレガ文庫所蔵の稀覯本の紹介等の先進的で高度な研究と、イタリアに蔵される日本古典籍の目録とキオッソーネ東洋美術館所蔵の日本古典籍貴重書解題である。 レインコレクション調査を元とする研究は、現地の日本文学研究者達(ハワイ大学教職員、学生、大学院生)やアメリカ・カナダから参加した日本文学研究者達に、国際共同研究会として、研究協力者2名が英語プレゼンテーションで説明し、大変好評であった。またレインコレクションに関連づけた、日本古典籍セミナーでの「近世後期絵入り読み本」の研究分担者の話も好評であった。ローマサレジオ大学マリオ・マレガ文庫所蔵の稀覯日本古典籍に関する研究発表を、研究代表者が行い、現地関係者に日本古典籍の紹介と調査概要に関する説明をした。そしてサレジオ大学図書館長と、イタリア主要大学の日本文学研究者達に、マリオ・マレガ文庫を活用させるための活動について検討した。 レインコレクションには膨大な日本古典籍が所蔵されており、まだ古典籍調査は終了していない。今後のレインコレクション調査計画や研究成果の共有のあり方について、ホノルル美術館東洋部部長以下2名と、詳細に打ち合わせを行った。ホノルル美術館担当者とは、頻繁にコミュニケーションを取り、信頼を得る関係を構築している。
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Strategy for Future Research Activity |
当研究の成果は、研究成果公開促進費の交付が決定された研究成果物『在外絵入り本 研究と目録』の刊行にむけて、データ管理や索引等を付して内容の高度化を図り、入念に研究成果物を作成・刊行することで、広く社会に公開する。 また海外日本古典籍調査先での研究成果発表にも積極的に取り組み、日本古典籍が蒐集されている現地周辺の日本文学研究者達への、日本古典籍の整理と調査による成果還元に努める。特に若手の海外日本文学研究者達へ、日本古典籍資料を用いた研究環境の整備を示して、その育成に配慮する。その場合、絵画を用いた古典籍作品が、ある程度重要な材料たりえるし、翻刻されていない作品が数多く存在するので、崩し字講習会なども行う必要が想定される。 研究成果公開促進費により出版する研究成果物『在外絵入り本 研究と目録』の成果を、日本古典籍調査先や関係する日本文学研究者達に還元する。 調査が途中であるホノルル美術館リチャード・レインコレクションの調査を可能な限り続行する。ハワイ大学やホノルル美術館での研究会開催にも極力協力し、ホノルル美術館による古典籍の画像公開・目録公開にも、可能な限り協力する。
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Causes of Carryover |
研究代表者は2017年度より、国文学研究資料館と併任する総合研究大学院大学の文化科学研究科長となり、勤務先及び総合研究大学院大学の公務で多忙を極めるようになった。同時に、介護を要する家族が2名(実母・姑)も生じた。これらの理由により海外所蔵先への調査渡航が難しくなり、思うように海外調査ができなかった。その結果次年度使用額が生じた。 翌年度は研究成果物の出版を予定しており、そのデータ管理や索引作成などを、資料整理補助員を雇用して入念に行う予定である。また、ホノルル美術館リチャードレインコレクションの古典籍所蔵量は膨大で、未だ調査は終了していない。そのためレインコレクション調査を継続する。サレジオ大学等の調査終了箇所でも、現地の日本文学研究者達、特に若手研究者にその成果を還元し、古典籍に基づく日本文学研究を現地に於いても行えるように環境を整えなければならない。そのため所蔵先での古典籍に基づく研究会を開催し、日本古典籍への興味を喚起する発表等を行う予定である。
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Research Products
(29 results)