2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26300027
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Research Institution | Kokushikan University |
Principal Investigator |
沼本 宏俊 国士舘大学, 体育学部, 教授 (40198560)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 重郎 筑波大学, 人文社会科学研究科(系), 教授 (30323223)
柴田 大輔 筑波大学, 人文社会科学研究科(系), 准教授 (40553293)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | メソポタミア / アッシリア / 粘土板文書 / 楔形文字 / クルディスタン / 土器 / 古バビロニア / 拠点遺跡 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の目的は、イラク北東部、クルディスタン地方の大型拠点遺跡を選定し発掘調査を実施し、歴史時代(古バビロニア~アッシリア時代:前2千年~1千年紀)の文字資料(粘土板文書、楔形文字文書)を発見し、未だ不明瞭なメソポタミア北東部の物質文化の様相、文化編年等を明らかにすることであった。初年度(26年度)の研究計画では8月か9月に同地方に渡航し、文字資料の出土が期待される大型拠点遺跡の踏査・選定、測量、層序確認の試掘調査を約2ヶ月間実施する予定であった。しかし、26年8月初旬にイラク北部でイスラム国が台頭したことにより、隣接する調査予定地のクルディスタン自治区エルビル県の政情悪化が危惧され渡航を急遽中止した。故に当年度の現地調査は実施できなかったため、現地での考古学的調査・研究での研究成果は全くない。研究費の殆どは外国旅費に充てていたため、26年度の予算の大半は次年度に繰り越した。 国内での研究:本研究課題遂行の基盤となった前科研調査で実施したシリア、テル・タバン遺跡出土の土器群の整理作業と北メソポタミア特有のハブール土器、ミタンニ土器、アッシリア土器等の分析・編年研究を行った。また、同遺跡の発掘調査の本報告書の刊行に向けての準備作業を並行し行った。文献研究班は同遺跡出土の古バビロニア時代、中期アッシリア時代の楔形文字資料の解読成果を欧米学会で公表し、同時代の貴重な新資料として注目された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究はイラク、クルディスタンの拠点遺跡の発掘調査に主眼を置いている。しかし、26年8月イラク北部でイスラム国が台頭したことにより、隣接するクルディスタン地方の治安が突如悪化した。故に、同地域への渡航を中止したため、26年度予定していた現地調査(遺跡踏査、選定、測量、試掘等)は実施できなかった。当初の研究計画は殆ど遂行できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題遂行の調査地、イラク、クルディスタン地方の政情は不安定で本格的な現地調査の実施は難しい状況が続くと思われる。現地に渡航可能であれば発掘調査を実施する予定だが、今後の研究は本研究遂行の基盤になったこれまでのシリア北東部、イラク北部で実施した発掘調査資料(未整理の土器と未解読文字資料)の整理分析研究に重点を置きたい。
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Causes of Carryover |
本研究の主目的はイラク、クルディスタンでの考古学的調査・研究で、研究経費の大半は外国旅費が占める。しかし、26年8月にイスラム国が台頭したため現地の情勢が不安定になり渡航を中止した。そのため外国旅費や現地での人件費・謝金・業務委託料等の経費を使用する事が出来なかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
27年度以降はイラク、クルディスタンでも治安状態の良い地域での調査を予定しており、外国旅費および現地調査費の使用が可能である。また、研究分担者を4名追加し全員に分担金を配分する。現地調査が実施できない場合には、国内での遺物の整理分析作業、報告書の作製・出版に経費を使用する。
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