2017 Fiscal Year Annual Research Report
援助と投資の経済人類学:エチオピアの食料資源の市場化/脱市場化に関する実証分析
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26300035
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
松村 圭一郎 岡山大学, 社会文化科学研究科, 准教授 (40402747)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
曽我 亨 弘前大学, 人文社会科学部, 教授 (00263062)
藤本 武 富山大学, 人文学部, 教授 (20351190)
田川 玄 広島市立大学, 国際学部, 教授 (70364106)
佐川 徹 慶應義塾大学, 文学部(三田), 助教 (70613579)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 文化人類学 / 経済人類学 / 移住政策 / ランドグラブ / アグリビジネス / 開発援助 |
Outline of Annual Research Achievements |
5年間の研究課題の4年目にあたる平成29年度は、それぞれの現地調査結果の分析と理論的検討を中心に実施した。とくに、7月にエチオピア研究に従事する他の日本人研究者7名を岡山大学に招いて研究会を実施し、本研究課題の成果を報告するとともに、研究代表者および分担者の調査地の状況がどれほど他のエチオピアの地域と共通しているのか、地域的な特徴や差異を生み出している要因は何かなどについて、2日間にわたって議論を重ねた。その結果、開発援助を実施するNGO等の活動が、2009年に出された政府の布告(「慈善団体および市民団体に関する布告」)のもとでアドボカシーや人権の分野における活動が大幅に制限されたことで大きく変質し、各地の援助活動が政府の開発政策とより一体化したことがあきらかになった。 本年度は、こうした研究会・学会等での議論や理論的検討をふまえて、研究成果の執筆や発信に注力し、研究代表者の単著をはじめ多数の著書や論文の出版、学会での研究発表を行うことができた。 エチオピアでの現地調査の実施にあたっては、反政府活動の高まりで2016年10月に出された非常事態宣言が2017年に入っても継続し、不透明な状況が続いたため、調査期間を短期間にしたり、現地調査の範囲を狭めることで対応するなど、多少の制約を受けた。ただし調査結果の分析や理論的研究を軸に研究を行うことで、調査研究を推進するための方策を話しあいながら研究課題の遂行に務めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現地の政治情勢の不安定化などで現地調査の遂行に一定の制約を受けたものの、確実に調査結果の分析や研究成果の発表・出版などの成果公開を進めており、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる平成30年度は、現地調査にもとづく個々の事例研究をこえた理論的検討を進めて、成果のとりまとめに向けた国内研究会を実施し、議論を重ねる予定である。
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Causes of Carryover |
調査地であるエチオピアでは、反政府活動の高まりで2016年10月に出された非常事態宣言が2017年に入っても継続し、その後、情勢はある程度安定化したものの、2018年2月に非常事態宣言が再発令されるなど不透明な状況が続いたため、調査期間を短期間にしたり、現地調査の範囲を狭めるなどして対応したことが、次年度使用額が生じた主な理由である。平成30年度には補足的な現地調査や国内研究会を実施し、研究計画に沿った予算使用に努める。
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