2014 Fiscal Year Annual Research Report
現代エチオピア国家の形成と農村社会における女性の役割に関する実証的研究
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26300036
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
石原 美奈子 南山大学, 人文学部, 教授 (20329741)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
児玉 由佳 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 地域研究センター, 研究員 (10450496)
吉田 早悠里 名古屋大学, 高等研究院, 助教 (20726773)
眞城 百華 上智大学, 総合グローバル学部, 助教 (30459309)
松村 圭一郎 立教大学, 社会学部, 准教授 (40402747)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | エチオピア / 国家 / 農村 / 女性 / 宗教 / 出稼ぎ / 自立 / 政治参加 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、石原(研究代表者)および吉田早悠里(分担者)・眞城百華(分担者)・松波康男(研究協力者・一橋大院生)が、エチオピアでの現地調査を実施し、2014年7月および2015年3月の2回にかけて南山大学で研究会を実施した。 1.現地調査:(1)石原は、2014年8月、エチオピア首都アジスアベバおよび南西部のムスリム・オロモ、北西部におけるムスリム・アムハラの諸社会で支持を広めているスーフィー組織ティジャーニーヤに所属する女性メンバーの活動に焦点をあてて調査を行った。2014年末に再度現地調査に赴く予定であったが、西アフリカにおいて広まっていたエボラ出血熱に対する懸念から渡航を断念し、今年度に持ち越した。(2)吉田は、2014年8月、および2015年1月の2回にわたりエチオピア南西部のオロミア州ジンマ県ゲラ郡の農村部で、オロモおよびカファ語話者の女性たちが昨今取り組んでいる、自立に向けた講の形成に向けた動きについて調査を実施した。(3)眞城は、2014年8月、エチオピア北部ティグライ州の農村部・都市部に在住する旧TPLF女性兵士の活動について現地調査を実施した。(4)松波は、2015年2~3月、エチオピア南東部のオロミア州東ショワ県ボサト郡の農村においてオロモ女性たちが集う霊媒師の活動状況について現地調査を実施した。 2.研究会:(1)第一回研究会:①「エチオピアの女性」をテーマにした論文集の出版計画について話し合った。②エチオピアの政治経済の現状分析に関し、情報共有するために、Journal of East African Studies(2011)のエチオピア特集を分担し読む読書会を行った。(2)第二回研究会:①「エチオピアの女たち:国家と農村」と題した論文集出版計画について、執筆予定者の論文構成について提示しあった。②今年度実施した調査研究の成果を発表し合った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画において初年度および2年目は、現地調査と2回の国内研究会を実施する予定としており、代表者・分担者・協力者、いずれも予定していた調査に赴くことができている。ただ2014年12月にエボラ出血熱の広がりに対する懸念から一部渡航を断念するメンバー(代表者)もおり、2年目となる今年度に課題は持ち越されたことは事実である。それでも、予定していた現地調査の大半は執行済みであり、出版計画についての話し合いも進んでおり、原稿の進捗状況もまずまずであるので、当初計画通り順調に進んでいるといえる。ただ初年度ということもあり、実績(論文・著書)が少ないことは否めない。それ以前から実施していた研究の成果が今年度出たというものはあっても、2014年度の本計画により実施した調査の成果が出るのは2015年度以降になりそうである。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目にあたる今年度は、代表者・分担者全員が現地調査を実施する予定である。 1.現地調査の予定 (1)石原(代表者)は、2015年8月、12月末~2016年1月初め、の2回にかけてエチオピア南西部で現地調査を実施する予定である。(2)児玉由佳(分担者)は、2015年10月、エチオピア北西部アムハラ州に土地保有と女性に関する現地調査を実施する予定である。(3)松村圭一郎(分担者)は、2015年12月末~2016年1月初め、アラブ首長国連邦に赴き、エチオピア農村出身のオロモ女性たちの生活に関する現地調査を行う予定である。(4)眞城百華(分担者)は、2015年8月、エチオピア北部ティグライ州において現地調査を実施する予定である。(5)吉田早悠里(分担者)は、2015年8月、および2016年2~3月の2回にかけてエチオピア南西部の南部諸民族州カファ県およびオロミア州ジンマ県において現地調査を実施する予定である。 2.国内研究会・研究発表および出版計画 今年度も2015年7月および2016年3月の2回にかけて研究会を実施する予定である。また今年度は3年ごとに行われる国際エチオピア学会が2015年8月下旬に開催される(今回はワルシャワ大学において)ことになっており、分担者の内、石原・児玉・眞城・吉田が研究発表する予定である。また論文集の出版については、まず7月研究会で執筆予定者で集まり、完成原稿の読み合せを行う予定としている。
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Causes of Carryover |
石原(研究代表者)が、当初計画では、エチオピアでの現地調査を2回(2014年8月および2014年12月末~2015年1月初め)実施予定としていたが、西アフリカで流行していたエボラ出血熱に対する懸念から渡航を断念した。エチオピアは北東アフリカに位置し、公式の感染事例は報告されていなかったが、先進諸国にも医療関係者など中心に感染事例が出ていたことに加え、エチオピアからも200人規模の医療スタッフを派遣しており類似症例の報告がいくつかあるなど懸念材料があったので、渡航を中止した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
石原(研究代表者)は、当初計画では今年度のエチオピア渡航予定は1回としていたが、2回とすることで前年度未使用分を使用する予定である。
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