2014 Fiscal Year Annual Research Report
中越国境地域の市場に見る民族間交流とエスニシティの文化人類学的研究
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26300038
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Research Institution | Nara University |
Principal Investigator |
芹澤 知広 奈良大学, 社会学部, 教授 (60299162)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉本 康子 国立民族学博物館, 民族社会研究部, 外来研究員 (50535789)
奈倉 京子 静岡県立大学, 国際関係学部, 講師 (70555119)
伊藤 まり子 京都外国語大学, 外国語学部, 非常勤講師 (70640887)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 中国 / ベトナム / 国境地域 |
Outline of Annual Research Achievements |
当初の研究計画にもとづき、平成26年6月6日に研究分担者を奈良大学へ招き、3年間の計画と初年度にあたる平成26年度の計画を中心に、顔合わせを兼ねた研究打ち合わせのための会合をもった。その後、年度末までのあいだに関連書籍とノートパソコンを購入した。 平成26年9月には、ベトナムの研究者の協力を得て、研究分担者とともに中越国境地域のベトナム側に赴いて実地調査を行った。ハノイを出発し、途中にホア族(華人)の住民が多いバクザン省を通り、中越国境にあるランソン省に入って、ランソン市内の市場にて調査を行った。その後、ランソン省からクァンニン省へ川沿いの道路を通り、いくつかの町を経てモンカイに到着した。モンカイを拠点にハーイハー(旧名ハーコイ)とモンカイの市場の調査を行い、海岸部の国境地点で中国からの投資もあるチャーコーを訪れた。帰路には、世界的に有名で、ホア族の労働者もかつて多くいたホンガイ炭鉱を通り、ハーロン市のクァンニン省博物館を訪れた。また、中国(モンゴル軍)とベトナムの歴史的な戦場として有名なバクダン川を通ってハイフォン市に入り、ハイフォン市博物館を訪れた。ハノイでは、古書も含め関連文献を多く収集した。 ランソンでは、商売上の共通語であった「白話」(広東語)を解す年長者が今も多くいること、ハーイハーでは現在新しく大規模な仏教寺院が建設されていること、モンカイでは、中国人やホア族が店舗を借りて中国商品を扱う商売を行っていることなど、次年度以降にさらに調査すべき重要な研究対象がいくつも見つかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年9月に行ったベトナムのランソン省とクァンニン省の調査は大きな成果があり、今後はその調査を継続、発展させていくことで、研究を進めることが可能であると考えている。しかしながら、平成26年9月の調査では、平成24年2月に研究代表者が同地を訪れた時とは異なり、ヌン族やザオ族など、ホア族以外の少数民族に関する情報をまったく得ることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度のベトナム調査で得た中国製品、中国人商人についての情報を手がかりにして、今後は中越国境地域の中国側(広東省と広西チワン族自治区)に赴いての実地調査も行うことで、関連情報をさらに収集したいと考えている。
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Causes of Carryover |
当初には研究分担者が、中越国境地域のベトナム・クァンニン省の寺院コミュニティにおける女性関係に関する調査を、あらためて実施する予定であった。寺院の活動を詳細に把握するには、同地域において、より多くの時間をかけた文化人類学的な聞き取り調査を数回実施し、得られたデータを整理する必要があるが、本年度には実施できなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記の理由から、次年度にベトナムにおいてフィールド調査を実施し、繰り越した分を使用する計画である。実地調査のための旅費のほか、現地での資料文献の収集を行ううえでの物品費や人件費・謝金等に充てる予定である。
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Research Products
(6 results)