2014 Fiscal Year Research-status Report
平和構築における法の支配とオーナーシップ:国際立憲主義と段階的社会発展の観点から
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26301015
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
篠田 英朗 東京外国語大学, 大学院総合国際学, 教授 (60314712)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 平和構築 / 国際立憲主義 / オーナーシップ / スリランカ / シエラレオネ / 法の支配 / 国連 |
Outline of Annual Research Achievements |
平和構築における法の支配とオーナーシップ、国際立憲主義に関する文献のさらなる収取集と渉猟に努めた。段階的社会発展の観点から参考になる文献で、特にシエラレオネやスリランカに関する文献についても同様に渉猟に努めた。このようにして「国際立憲主義」の枠組みにもとづいた「平和構築の法の支配アプローチ」が、アジアやアフリカの紛争後国の「現地社会のオーナーシップ」発展に与える影響を明らかにすることに努めた。残念ながらエボラ出血熱の影響で、今年度におけるシエラレオネへの出張については見送ることにした。その一方で、スリランカでは、研究協力者たちと協議の上、Ajith Balasooriya氏とともに北部地域にまで足を運び、現地聞き取り調査を遂行した。その他、国内の学会・研究会において知見を広める作業を行った。スリランカにおいては、「北部の春」と中央政府が呼ぶ開発事業が、紛争が激しかった北部地域に対して導入されているが、中央集権的な中央政府の政治手法とあわせて、開発独裁型の平和構築が模索されていることがよりいっそう明らかになった。ただし中国との結びつきを強めてアジア的手法で体制固めを図ったラージャパクサ政権が1月の大統領選挙で敗北したことは、国民の間に根強い強権政治への不信感があることも物語った。ラージャパクサ政権時代の欧米諸国の戦争犯罪調査の要求にたいする異常なまでの拒絶的な態度は、スリランカ国民の間の人権問題への微妙な態度を象徴するものであっただろう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
文献渉猟は、まだ完遂していないが、研究の枠組み強化に非常に有益なものとなっている。アフリカにおける平和構築の特徴づけや、スリランカにおける平和構築の特徴づけの作業は順調に進んでいる。シエラレオネにおける聞き取り調査の延期は大きな変更点となるが、研究期間全体でとりかえしていくことになる。
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Strategy for Future Research Activity |
理論的土台をさらに精緻化して発表を行いつつ、シエラレオネも含めた対象事例についての聞き取り調査等を進めて、成果を発表していく。
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Causes of Carryover |
年度末の海外出張の帰国日が4月1日にかかったため、計算の煩雑さを回避するという大学事務方の配慮により出張費全体を翌年度に回す措置がとられた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
出張自体はすでに遂行済であり、平成27年度予算で処理される予定である。
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