2016 Fiscal Year Annual Research Report
The relu of law and ownership in peacebuilding from the perspective of international constitutionalism and staged social progress
Project/Area Number |
26301015
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
篠田 英朗 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (60314712)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 平和構築 / オーナーシップ / 主権国家 / 発展 / シエラレオネ / スリランカ / 国際社会 / 自由主義 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、平和構築における法の支配の制度化と現地社会オーナーシップの発展について総合的な検討を加え、文献渉猟を中心とする歴史的・理論的分析と、海外実地調査を通じた聞き取り作業を中心とする事例分析とを、効果的に組み合わせることを試みた。実地調査にあたっては、今日の平和構築活動の主要対象となっているアフリカの紛争後国の中から、設立当初からの国連平和構築委員会の検討対象国となっているシエラレオネ、そして介入主義を嫌う傾向が強いアジアにおいて国連との間でも緊張関係が続いているスリランカを主要な事例としてとりあげた。研究実績は、三つの観点から整理することができる。第一に、本研究は、普遍化した自由主義的価値規範を思想的基盤とした現代国際社会の秩序が、世界各地で直面している困難を体系的に示した。20世紀後半に作られた国際秩序の仕組みは、「失敗国家」「破綻国家」に象徴される主権国家システムの綻びによって挑戦されている。さらに、自由主義的価値規範に依拠した冷戦終焉後に広まった国際秩序は、自由主義とは異なる価値を標榜する勢力によって挑戦されている。本研究は、この問題構造を検討するための理論枠組みと、事例分析を提供した。第二に、政治社会の段階的発展論の視点を導入し、単なる地域的・文化的差異に還元されない発展段階論からの普遍主義への挑戦の意味について検討した。第三に、世界各地の紛争後社会で実施されている平和構築の政策を、さらに充実させていくための指針を、学術的に提示することを試みた。そのためにシエラレオネとスリランカにおける平和構築活動を、アフリカ型とアジア型として設定した上で、両者の比較を行った。アフリカでは理念面において欧米流の近代国家を設立する意識が強いが、社会経済的基盤が整合していない。アジアでは全く逆である。しかし両者それぞれにオーナーシップの段階的発展の考え方があることもわかった。
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