2014 Fiscal Year Annual Research Report
貧困削減と切花輸出産業の発展:ケニアとエチオピアの事例
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26301018
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
真野 裕吉 一橋大学, 大学院経済学研究科, 講師 (40467064)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 綾 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 講師 (20537138)
松本 朋哉 政策研究大学院大学, 政策研究科, 助教授 (80420305)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 貧困削減 / 園芸産業 / 技術採用 / 販路 / 雇用創出 |
Outline of Annual Research Achievements |
<ケニア> 平成26年度は、1月21日から2月2日にかけて松本と真野がケニアに出張し、小規模農家に対して予備的な調査を行った。さらに、圃場の土壌を採取し、ケニアの農業技術研究サービス企業Crop Nutrition Laboratory Services (Cropnuts)に依頼して、土壌成分の検査を実施し、全サンプル320農家にそれぞれの検査結果を配布した。アフリカの中でもとりわけ高い人口圧力に対処すべく、土地生産性を高める技術を積極的に採用しているケニアにあっても、Cropnutsの研究者らの情報によると、施肥やその他の農業技術はまだ改善の余地が大きいという。 平成27年度は、平成26年度の調査結果を踏まえて、土壌改良を中心とした農業技術の研修をサンプル農家の中からランダムに選んだ半数に提供する。研修参加者と非参加者を比較することで、こうした技術研修が農家の生産性や所得に、さらに食費や子供の教育への支出にどのような効果があるか計測する。 <エチオピア> 平成26年9月に、鈴木がエチオピアに出張し、切り花産業の労働者に対する調査を行った。本調査は平成25年2月に行った労働者調査の第二回目で、前回インタビューした人たちを再訪し、パネルデータを構築した。具体的には、切り花産業で働く単純労働者約140名、スーパーバイザー約100名の他、単純労働者と比較できる属性を持ち、切り花産業に従事していない労働者約200名の、合計約440件のデータを収集した。現在、同データを用いて切り花産業の貧困削減への影響や同産業における特定の技能(スキル)に対するリターンなどに関する論文を執筆中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度に行ったケニアでの情報収集により、アフリカの人口の半数以上を占める小規模農家の大きな課題である技術採用の遅れが浮き彫りとなった。これを足がかりとして、平成27年度には、技術研修を実験的アプローチで提供することにより、これが果たして解決の糸口となりうるかを検証する。さらに、エチオピアでは労働者のパネルデータを構築した。分析結果を学会でも報告し、頂いたコメントなどを参考にしながら論文の完成を目指している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、平成26年度の調査結果を踏まえて、土壌改良を中心とした農業技術の研修をサンプル農家の中からランダムに選んだ半数に提供する。研修参加者と非参加者を比較することで、こうした技術研修が農家の生産性や所得に、さらに食費や子供の教育への支出にどのような効果があるか計測する。エチオピアの研究は構築した労働者のパネルデータを引き続き分析し、結果を学会などでさらに報告し、完成論文を学術誌に投稿する。
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Causes of Carryover |
平成26年度の予備調査によってしぼられた研究課題は、サンプル農家に対する農業技術研修を実験的アプローチにより提供し、それが生産、所得、支出などに及ぼす効果を計測することである。研修を実施するには十分な準備の時間が必要であるし、予算を集中的に投下する必要がある。そのため、平成26年度の予算使用は前述の予備調査のみにとどめ、十分に準備したうえで、平成27年度に研修と調査を実施する方が有意義であると判断したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度の予算は研究者が現地を訪れる旅費以外に、研修実施、調査実施に充てる。具体的には、8月ごろにケニアの農業技術研究企業Crop Nutrition Laboratory Services(Cropnuts)と共同で農業技術の研修を実施する。さらに、1シーズン後にあたる3月ごろにエンドライン調査を実施して、研修の効果を計測する。
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Research Products
(13 results)