2017 Fiscal Year Annual Research Report
Psychological Study of American-Japanese International Divorce
Project/Area Number |
26301034
|
Research Institution | Tokyo City University |
Principal Investigator |
矢吹 理恵 東京都市大学, メディア情報学部, 准教授 (30453947)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 日米国際結婚 / 夫婦間葛藤 / 離婚 / キャリア形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は以下の3点である。1. 在米の日米国際結婚が継続する場合と破局に至る場合とでは、アメリカ人夫と日本人妻の生涯発達過程の何がどう異なるのかを明らかにすること、2. 国際結婚に至った夫婦関係の親密性を高める社会的・心理的要因を抽出すること、3.国際離婚に夫婦を向かわせる社会的・心理的要因を析出することである。 2017年も3に焦点をあててデータ収集と質的分析を行った。これまでの調査から生涯発達を通じての日本・アメリカ・第三国間の往還を繰り返す中での夫婦のキャリア形成の困難さが夫婦のパワーバランスに影響を与え、夫婦関係悪化の要因となることが見出された。2016年のデータでは、夫の国であるアメリカに移住後は、アメリカ人夫がBread Winner(主な稼ぎ手)となり日本人妻のキャリアが中断されていた。他方、2017年では3組の対象夫婦がアメリカ移住後に夫が継続的なキャリア形成を行わずBread Winnerになっていなかった。これらの夫婦は全員が深刻な夫婦間葛藤を経験したのちに、妻がBread Winnerとなっていた。その後いずれも妻が離婚を決心するに至るが、妻に収入があり夫に収入がない場合は、離婚後は妻が夫と子どもの生活費と養育費を負担しなければならないという現地の法律が壁となり、調停が難航していることがわかった。またこれらの夫婦の夫には「自分の好きなことしか仕事にしない」という自らの文化的志向性とキャリアを密接に結び付ける傾向があり、これが彼らの就業継続を困難にしていた。妻も夫も結婚前の出身国においてmarginal(Roberts, J. 2014)な位置取りにいたが、自らのidentity を自覚しそれに合った生き方を求めて海外に出て行った日本人妻に対して、アメリカ人夫は「好きなことしかしない」=領域限定的、非競争的生き方を志向していることもわかった。
|