2015 Fiscal Year Annual Research Report
原子核乾板による暗黒物質の検出 -グランサッソー研究所におけるテスト実験-
Project/Area Number |
26302003
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中村 光廣 名古屋大学, 未来材料・システム研究所, 教授 (90183889)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中 竜大 名古屋大学, 高等研究院, 助教 (00608888)
佐藤 修 名古屋大学, 未来材料・システム研究所, 助教 (20377964)
中野 敏行 名古屋大学, 理学(系)研究科(研究院), 講師 (50345849)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 暗黒物質 / 原子核乾板 |
Outline of Annual Research Achievements |
イタリア、トルコと国際共同実験グループを組織し、グランサッソー研究所に実験のLetter of Intentを提出、2年間のテスト実験を認められてNEWSという実験名が付いた。専用の実験エリアもOPERA実験の旧ブリック組み立て室を改造することでアサインされ、OPERAの地下原子核乾板施設を受け継いだ。 今年度は①背景事象の理解とその削減、②中性子検出の感度確認と地上での測定、③地下での中性子検出に取り組んだ。原子核乳剤製造時に混入するゴミの排除に関しては、全ての薬品群を1ミクロンメッシュのフィルターでこしとり、従来比で約4桁落とすことが出来る事を確認した。現状予想される最大のバックグラウンドは現生生物由来のゼラチンに含まれる炭素14のβ崩壊に起因するものである。反跳原子核とこれらβ線との分離に、原子核乾板を液体窒素温度に冷却し使用する手法が有効である事を確認した。中性子検出に関しては、カリフォルニウム線源を用いたテスト照射結果をMCと比較して、そのエネルギー決定精度、方向決定精度が期待通りである事を確認した。また地上での測定に関しては、33日間の照射を名古屋大学理学部C館屋上で行い、その観測量が期待値と良い精度で一致しているが、飛程に関しては長いほうで少ないことから、エネルギー分布に関しては理解が十分でないことを認識した。また地下での照射を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
参加する若手研究者、大学院生の精力的な研究推進により、実際の実験を研究所に提案するところまで来た。平成28年度に暗黒物質のグラム級実験を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は地下での中性子測定ならびに暗黒物質検出のグラム級実験を開始する。並行して、バックグラウンド除去に関して、最大のBGである炭素14含有量が少ない石油起因の高分子をゼラチンの代わりに用いる開発を試みる。また液体窒素温度に冷却した原子核乾板の特性の理解を進める。
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Causes of Carryover |
イタリアの現地グランサッソー研究所では、ニュートリノ振動実験OPERAと原子核乾板取り扱い施設を共有しているが、OPERAの解析・検出器解体が遅れたことにより、本計画にも影響が及んだ事が原因である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
OPERAの検出器解体も順調に進んでおり、グランサッソー地下の原子核乾板施設も2016年6月より本計画の専有となる。平成28年度は計画の最終年度であり、精力的に研究を推進してゆく。
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