2017 Fiscal Year Annual Research Report
3地点からの全天大気光撮像による極冠域電離圏広域イメージング観測
Project/Area Number |
26302006
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
細川 敬祐 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (80361830)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田口 聡 京都大学, 理学研究科, 教授 (80251718)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 大気光観測 / 電離圏 / 極冠パッチ / 極冠オーロラ |
Outline of Annual Research Achievements |
平成 29 年度は,イウレカのイメージャの立ち上げは遠隔操作によって行い,その代わりに 8 月にロングイヤービイエン,10 月にレゾリュートベイに渡航して,機器のメンテナンスを行った.特に,レゾリュートベイのイメージャは,設置後 12 年が経過しており,無停電電源装置やネットワークへの接続に問題が生じていたため,今回の出張でこれらの問題の解決を行った.これら 2 つのイメージャについては,現地の観測サイトスタッフと密に連携を取ることで,観測のモニタリングや不具合への対応が問題なく行えている.ただ,12 月に,それまで順調に観測を行っていたイウレカのイメージャの CCD カメラの冷却機能が故障し,以降の観測が行えない状態になった.現地で観測所のメンテナンスをしている Toronto 大学の Pierre Fogal 博士と連絡を取りながら,修理のためにカメラを日本に積み戻す作業を行った.上述のように,幾つかのトラブルがあり,連続観測が安定的にできていない時期が生じているが,北米域の 2 地点(レゾリュートベイ,イウレカ)とヨーロッパ域(スバールバル)の 1 地点の計 3 地点からの極冠域電離圏大気光計測を実施した希有な広域データが揃いつつある.現在,これらの光学観測機器と,Super Dual Auroral Radar Network (SuperDARN) や EISCAT, AMISR (RISR-N) などの非干渉散乱レーダー,GPS 全電子数観測といった電波による電離圏観測を組み合わせて,極冠域超高層大気現象の構造を広域に,かつ 3 次元的に明らかにするための研究を進めている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
光学系,筐体,冷却 CCD カメラ,光学フィルター,コントロール PC からなる全天イメージャシステムを完成させ,名古屋大学宇宙地球環境研究所においてテスト観測を行った後,2015 年 7 月にカナダに空輸した.平成 27 年 10 月に研究代表者の細川がイウレカに出張し,全天イメージャの設置から観測データの確認までの全てを行うことができた.また,観測システムに対して日本から衛星インターネット回線を用いた接続が行えるような設定を行い,観測状況の確認が行える環境を構築した.平成 29 年 12 月に CCD カメラの冷却機能が故障したため,現在観測が中断しているが,平成 30 年秋に再度イウレカに渡航し,イメージャシステムの再立ち上げを行う予定である.観測は PC による自動制御で行われており,観測をスタートした 2015 年 10 月下旬から 2017 年 12 月上旬までの 2.5 シーズン分に亘って良好なデータを取得することができている.イウレカで得られたデータはトロント大学のサーバーを経由して,電気通信大学および名古屋大学宇宙地球環境研究所の解析サーバーに転送されている.生画像を絶対発光強度に変換する作業を行い,全天画像のムービーや南北断面の時系列プロットを作成しウェブで公開するシステムを構築している.既設の 2 台の全天イメージャ(レゾリュートベイ,ロングイヤービエン)も順調に観測を継続しており,現在,イウレカのデータを組み合わせた極冠域電離圏環境のグローバルイメージングに基づいた,極冠パッチや極冠オーロラの広域構造の研究を実施している.
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き 3 地点における大気光観測を継続する.カナダのイウレカには秋に渡航し,修理が完了した CCD カメラを再設置することで,全天イメージャ観測の再立ち上げを行う.ロングイヤービイエンに関しては,8 月に渡航し観測システムのメンテナンスを実施する.観測の実施と並行して,得られたデータの解析も進めていく.イウレカ,レゾリュートベイ,ロングイヤービイエンの 3 地点で同時にポーラーパッチが観測されている事例を抽出し,電離圏観測データと相互補完的に組み合わせることで,1) ポーラーキャップパッチの生成過程の理解: 生成領域の空間分布,生成に寄与する物理過程の解明,2) ポーラーキャップパッチの輸送経路の把握: 輸送経路の動的な追跡,背景対流との関連性の理解,3) ポーラーキャップパッチの特性変化の把握: 輸送中の特性(密度・空間構造)の時間変化の理解,に取り組む予定である.また,平成 30 年度は計画の最終年度であるため,成果の取りまとめも行っていく.具体的には,これまでに得られている,1) ポーラーキャップパッチ発生頻度の UT 依存性に関する研究,2) ポーラーキャップパッチの特性の太陽風擾乱(共回転相互作用領域,コロナ質量放出)に対する依存性の解析,3) 極冠オーロラの衛星・地上同時観測事例の解析などの研究テーマについて論文の形で成果を創出することを予定している.
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Causes of Carryover |
今年度は,ロングイヤービイエンへの出張を別プロジェクトの出張も兼ねて実施した.また,今年度はレゾリュートベイのイメージャのメンテナンス作業を優先したため,最も渡航費用がかかるイウレカへの出張を見合わせた.これらの理由により,旅費を支出する必要がなくなったため次年度使用額が生じている.平成 30 年度は,故障したカメラの再設置のためにイウレカへのカメラの輸送費,出張旅費を必要とする.平成 29 年度の未使用額と平成 30 年度の研究費を合わせて対応することを予定している.
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Research Products
(6 results)