2014 Fiscal Year Annual Research Report
アンコール遺跡バイヨン寺院の安定化と修復・保存に向けた地盤・岩盤工学的検討
Project/Area Number |
26303010
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
小山 倫史 関西大学, 社会安全学部, 准教授 (20467450)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊本 統 横浜国立大学, 大学院都市イノベーション学府, 准教授 (90508342)
原口 強 大阪市立大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (70372852)
中川 康一 大阪市立大学, 都市研究プラザ, 名誉教授 (80047282)
岩崎 好規 一般財団法人地域地盤環境研究所, 専務理事 (80450899)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | カンボジア / アンコール遺跡 / バイヨン中央塔 / 数値シミュレーション / 現場計測・モニタリング / 文化財保存 / 安定性評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,以下に列挙する6つの項目について検討を行う.すなわち,1.地盤工学的調査,物理探査による基壇内部の地盤・地質構造の把握および解析モデルの高精度化,2.体・基壇の変状の現状把握,変状メカニズムの解明および変状要因の特定のための各種計測,3.基壇内部の地盤に対する土質試験および地盤構成モデルの高精度化,4.地盤解析技術を用いた基壇内部の応力-浸透連成解析および基壇と塔体の連成挙動の把握,5.塔体・基壇の構造安定化のための修復方法・対策工の設計およびその効果の検証,6.対策工実施後の構造安定性評価のための各種計測・モニタリングシステムの構築である.以下に個々の検討項目について研究業績の概要を記す. 「項目1」:崩壊・変状が最も著しい北テラス西側領域を中心に比抵抗探査を実施し,基壇内部の構造を明らかにするとともに,塔体の変状に大きく寄与すると考えられる基壇内部の水分量の分布を推定した.[項目2]:単写真を用いた石積みのクラック進展や目地開きの計測を実施し,基壇および塔体の変状の現状把握を行った.また,基壇における水分量のモニタリングにより雨水浸透挙動を把握した.さらに,GPSを用いて塔体の動態計測を実施した.[項目3]基壇内部の版築および原地盤においてブロックサンプリングを実施し,土試料を採取した.[項目4]マニフォールド法-不連続変形法連成解析(NMM-DDA)の解析コードに新たに下負荷面カムクレイモデルを導入するとともに,応力-浸透連成解析コードを開発し,1次元圧密解析における理論解により妥当性の検証を実施した.[項目5]数値シミュレーションにより,今後実施予定である塔中央部における基壇の掘削に伴う塔体の安定性を評価し,補強方法の検討を実施した.[項目6]塔体・基壇に設置した各種計測機器の一元化・無線化など観測システムの設計を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
基壇における物理探査,各種計測(土壌水分,亀裂進展・目地開き)および塔体の動態計測を実施し,概ね塔体および基壇の変状に関する現状が把握できたといえる.引き続き計測・モニタリングを実施し,変状を注視する必要がある.一方,シミュレーション技術の開発についても応力-浸透連成挙動の把握に向けた解析コードの高度化が図られ,次年度以降,塔体お安定性評価および対策工の効果の検証に用いることができる.また,「予防保全」という考え方のもとに塔体・基壇における計測・モニタリングシステムを設計し,次年度以降の運用が可能となった. 以上のことから,進捗はおおむね順調に進展しているといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度の成果を踏まえて,先述の検討項目について,今後の推進方策および実施内容は以下のとおりである. [項目1]異なる季節や雨天前後に同一地域の記録を複数取得することで,変化分を抽出し,差分解析により高解像度の可視化を実施する.[項目2]降雨時における基壇内部への雨水浸透挙動の計測を実施し,常時と降雨時の水位などを確認し,基壇盛土内地盤からの排水処理方法(表層浸透水遮断や排水ボーリングなど)についてその必要性を検討し,手法を確立する.[項目3]各種土質試験結果に基づき,乾湿繰り返しなどによる材料劣化の定量評価および不飽和土の構成モデルの構築,弾塑性モデルの不飽和土への拡張を実施する.[項目4]塔体・基壇の変状メカニズム解明のために,NMM-DDAおよびFEMによる応力-浸透連成解析および計測結果との比較を行い,対策工の検討とあわせて実施する.[項目5]塔外部からの緊結工,塔内部からなお解体改修工,塔頂部の防水工の設置,排水溝の補修あるいは設置など具体的に実施可能かつ効果的な対策工の設計・検討を図る.[検討6]塔体・基壇に設置した各種計測機器の一元化・無線化を図ることで,観測システムを構築し,引き続き計測データの取得・蓄積を行う.
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Causes of Carryover |
アンコール遺跡において各種計測機器の設置やボーリング調査を実施するにあたり,遺跡を管理するAPSARA機構(カンボジア)への申請・許可が必要であり,今回,ボーリング調査について,別プロジェクトとの関係で許可が下りなかったため実施ができなかったため,その費用相当の差額が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度は,計画的に申請を行い,ボーリング調査を実施する予定である.
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Recent insights into analytical precision and modeling of DDA and NMM for practical problems.2014
Author(s)
Ohnishi, Y., Sasaki, T., Koyama, T., Hagiwara, I., Miki, S. and Shimauchi, T.
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Journal Title
Geomechanics and Geoengineering, an International Journal
Volume: 9(2)
Pages: 97-112
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] Stability analysis of the Bayon Central Tower with NMM-DDA considering the excavation of the foundation.2014
Author(s)
Hashimoto, R., Koyama, T., Kikumoto, M., Saito, T., Yamada, S., Araya M., Iwasaki Y. and Ohnishi, Y.
Organizer
The 8th Asian Rock Mechanics Symposium (ARMS8)
Place of Presentation
ロイトン札幌(北海道)
Year and Date
2014-10-14 – 2014-10-16
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[Presentation] Numerical study on the bearing capacity of the traditional soil foundation in Angkor ruin with NMM-DDA2014
Author(s)
Hashimoto, R., Koyama, T., Mimura, M., Kikumoto, M., Saito, T., Yamada, S., Araya M and Iwasaki Y.
Organizer
The 14th International Conference of the International Association for Computer Methods and Advances in Geomechanics (14th IACMAG)
Place of Presentation
京都国際会館(京都)
Year and Date
2014-09-22 – 2014-09-25
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