2015 Fiscal Year Annual Research Report
アジア途上国のアンモニア汚染地下水を水道水として利用するためのアナモックス法開発
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26303014
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤川 陽子 京都大学, 原子炉実験所, 准教授 (90178145)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平 大輔 崇城大学, 生物生命学部, 准教授 (00569890)
津野 洋 大阪産業大学, 人間環境学部, 教授 (40026315)
尾崎 博明 大阪産業大学, 工学部, 教授 (40135520)
濱崎 竜英 大阪産業大学, 人間環境学部, 准教授 (50340617)
藤井 隆夫 崇城大学, 生物生命学部, 教授 (80165331)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | アナモックス / 地下水 / ベトナム / 鉄バクテリア / アンモニア / 砒素 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本の実験室では一槽型の部分亜硝酸化―アナモックスリアクター(SNAPリアクター)により合成水の処理を行い、処理成績ならびに菌叢の変動について観測してきた。2015年度は、この合成水調整時に、これまで淀川河川水を原水とする水道水と使ってきたが、原水を地下水とする水道水での運転に変更した。またアンモニアについては低負荷を維持することとした。その結果、2015年度末に、アンモニア性窒素濃度25mg/Lと、ベトナムでの処理対象の原水に近い性状の原水に対し70%前後の脱窒率をえるに至った。 また、2015年度には、淀川河川水を原水とする水道水のSNAPリアクターで生成する汚泥の菌叢解析を行った結果を取りまとめた。運転期間中にアンモニア酸化菌であるNitrosomonadaceaeの存在比率に占有率の変動が認められたが、これは、原水水槽でアンモニア酸化菌の繁殖が起こった時期に整合した。また、アナモックス菌は当初KSU-1株が優占する種汚泥を使用したが、最終的にはSNAPリアクター内ではC. Brocadia属が優占した。 ベトナムの国立環境技術研究所において50Lのアナモックスリアクターを設置し、アナモックス菌の種汚泥の培養を開始した。これはベトナム・ハナム省の現場にて設置する500LのSNAPリアクター用の種汚泥をえるためである。当初0.5g/LのMLSSで開始したが種汚泥を追加し1g/LのMLSSとしたところ、安定した運転が可能になった。 研究代表者らが設置したベトナム農村部の鉄バクテリア法のろ過池のろ材上に繁殖する菌について次世代DNAシークエンサによる菌叢解析を行った結果を取りまとめた。C. Brocadia属のアナモックス菌が鉄バクテリア法のろ材上に自然繁殖していることが明らかになった。このことから、鉄バクテリア法の処理水に対してSNAPリアクターによる処理を行う場合、たえず上流側からアナモックス菌が供給され、処理性能の維持の上で有利になると推察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ベトナムの現場設置予定の500LSNAPリアクター用の種汚泥培養のため、ベトナム国内の実験室で50Lのアナモックスリアクターを設置し運転開始したが、50Lリアクターの培養が順調に推移しなかった。50Lリアクター立ち上げ時に0.5g/LのMLSS相当の種汚泥を投入したが、これが不十分であった可能性がある。2015年12月に種汚泥を追加したところ、性能が安定したので、今後遅れを取り戻せる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2016年8月ごろにはベトナムの農村水道現場でSNAP法(部分亜硝酸化―アナモックスの一槽型)リアクターを設置し、運転を開始できる見込みである。 一方、熊本地震により熊本市にある研究分担者の実験室が被害を受けた。現在、まだ余震が続いており、研究分担者の実施予定の菌叢解析等の試験操作の実施について、今後の予定が見通せない状況である。今後研究分担者らと協議し、対応策を考えることとする。
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Causes of Carryover |
当初 農村水道現場に設置する500L容の部分亜硝酸化ーアナモックス反応の一槽型リアクター(SNAPリアクター)については、平成27年度末に完成・稼働を予定していた。このリアクターのための種汚泥をベトナムに設置した50Lアナモックスリアクターで培養することとし、平成27年に開始したが、アナモックスリアクターに投入した種汚泥の濃度不足で当初、このリアクターの立ち上がりが不良であった。追加の種汚泥投入でアナモックスリアクターの性能は向上し種汚泥の培養が可能になったが、現場に設置する500LのSNAPリアクターは、時期を遅らせて平成28年度に設置を実施することとした。このように500LのSNAPリアクターの製作設置の経費が翌年に持ち越されたため次年度使用額が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
500LのSNAPリアクターを平成28年度に製作設置する経費や、このリアクターの稼働後に行う菌叢解析・水質分析等の費用として用いる。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Monitoring of Arsenite Sorption to Biogenic Iron Oxide in a Flow-Through Column by X-Ray Absorption Spectroscopy2015
Author(s)
Y. Fujikawa, M. Sugahara, T. Honma, S. Hirayama, Ph. D. Hung, S. Sakurai, H. Yashima, A. Hashiguchi, S. Taniguchi, H. Ozaki, P. Lewtas
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Journal Title
e-Journal of Surface Science and Nanotechnology
Volume: 13
Pages: 455-460
Peer Reviewed / Open Access
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