2014 Fiscal Year Annual Research Report
マングローブ帯の劣化に伴う熱帯泥炭地海岸侵食と新規代替干潟生態系の形成過程の解明
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26303015
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
山本 浩一 山口大学, 理工学研究科, 准教授 (50355955)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神野 有生 山口大学, 理工学研究科, 助教 (30583760)
鈴木 素之 山口大学, 理工学研究科, 准教授 (00304494)
赤松 良久 山口大学, 理工学研究科, 准教授 (30448584)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | インドネシア / 泥炭地 / ブンカリス島 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年海岸浸食が著しいインドネシア国リアウ州ブンカリス島北岸を対象に,泥炭地が直接波浪に暴露される場合における泥炭地の浸食・再堆積・泥炭干潟上の植物生態系の変化を予測することを目的とする.本研究では緊急性の高い1)海岸泥炭崩壊の実態解明,2)地下水位の低下に伴う泥炭地盤から発生する二酸化炭素発生量の推定,3)懸濁態泥炭の輸送・再懸濁・沈降モデルの確立および数値計算による干潟地形形成速度の解明,4)新たに生じた泥炭干潟の植物生態系の実態調査を行うことを目的としている.平成26年度においては1),2),3)の一部を行った. 1),2)について,泥炭地崩壊が頻繁に発生している泥炭地において継続的な地形測量と地下水位の連続測定を行い,泥炭崩壊が発生した時期を特定した.泥炭地崩壊は降雨が継続的にあって地下水位が高いときに発生していた.崩壊して海に流出した泥炭を CO2に換算すると,この地域で泥炭の分解により一年間に発生する CO2の 400ha 分に相当することが明らかになった. 3)について,今までその実態が不明であった泥炭質の懸濁物質についてその濃度分布やフラックスについて現地調査を行った結果,100%有機物である泥炭もその懸濁物質は沈降,再懸濁しており,通常の底泥と同様の特性を示した.また,現地および室内実験により泥炭の限界せん断応力についても知見を得,それが一般の粘着性底泥とそれほど異ならない結果となった.泥炭の堆積が著しい地点において 8 時間の連続観測を行ったところ,下げ潮時には鉛直一次元モデルで懸濁物質量および懸濁態泥炭量をモデル化できたが,上げ潮時には移流成分が卓越し,高濃度の泥炭が現場を通過することが明らかになった.リアウ大学,ブンカリス高専の研究者を交えたミーティングを3回実施し,より研究協力関係を密にすることができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画していた事項のうち1)海岸泥炭崩壊の実態解明,2)地下水位の低下に伴う泥炭地盤から発生する二酸化炭素発生量の推定,3)懸濁態泥炭の輸送・再懸濁・沈降モデルの確立および数値計算による干潟地形形成速度の解明の一部まで研究が進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
現在,活発に地形変化が進行しているためその詳細な地形変化をドローンやGPS等を用いて明らかにするとともに,今後は最新の高精度な衛星画像により地形変化を捉える.また,植生調査の予備調査を実施し,新規な生態系を解明するための足掛かりとする.
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Causes of Carryover |
本来であれば2015年3月に研究代表者と共同研究者がブンカリス等に出向く必要があったが,都合がつかなかったため延期した.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年8月に共同研究者と研究代表者が渡航予定であるため,そこで使用する.
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