2015 Fiscal Year Annual Research Report
マングローブ帯の劣化に伴う熱帯泥炭地海岸侵食と新規代替干潟生態系の形成過程の解明
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26303015
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
山本 浩一 山口大学, 理工学研究科, 准教授 (50355955)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 素之 山口大学, 理工学研究科, 准教授 (00304494)
赤松 良久 山口大学, 理工学研究科, 准教授 (30448584)
神野 有生 山口大学, 理工学研究科, 助教 (30583760)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 泥炭 / 分解 / 干潟 / 地下水 / 地盤安全率 |
Outline of Annual Research Achievements |
泥炭地盤崩壊が頻繁に発生しているインドネシアブンカリス島において継続的な地形測量と地下水位の連続測定を行い,泥炭地盤崩壊が発生した時期を推定した.また,現地における土質試験及び泥炭サンプル採取,泥炭地崩壊地点の地下水再現計算結果から2014年12月と2015年1月の泥炭地盤の安全率計算を行った.その結果,現地の地形測量結果や現地の降雨データ,地下水位連続測定結果から泥炭地盤崩壊は乾季である3月~9月では発生しておらず,雨期である10月~2月に発生する可能性が高いことが分かった.また, 安全率計算の結果から内陸部の安全率は水位標高9mの場合安全率1.8と低い値を示していたが,水位の低下と共に安全率の上昇が見られた.このことから,水位標高を8m前後に抑えることによって泥炭地崩壊の危険性を低下させる事が出来ると考えられる.一方で,泥炭火災を防ぐためには地下水位を地表面から40cm以下に保つ必要があり,最低の水位は地表面から40cm程度にする必要がある.よって,乾季には火災に対して,雨季には地盤崩壊に対して適切な水位管理が重要になると考えられる. 新規に形成された泥炭干潟の泥炭採取の結果,まず泥炭の砂州が形成され,その内側にラグーンが形成されてマングローブが生育することが分かった.炭素年代測定の結果,砂州の表層の泥炭は約3000年前のものであり,別の場所から輸送されてきた泥炭であることが明らかになったが,マングローブの表層土壌は現代の炭素年代を示した.また,未崩壊の泥炭地と泥炭干潟を対象に,泥炭の腐植化度を調べることで泥炭の分解が発生しているのかどうか調べた.マングローブ域の表層ではきわめて大きな腐植化度を示し,分解することを示していた.泥炭砂州部の泥炭は未崩壊の泥炭地に比べて約2倍の腐植化度を示しており,海洋を浮遊することで分解が進行していることが分かった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
泥炭の崩壊理由が定量的に示され,泥炭地の保全に役立つ知見が得られたとともに泥炭干潟のマングローブの植生調査もほぼ予定通りに終了している.ただし懸濁物質の流動の数値モデル化は未達成である.
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度はこれまでのデータのとりまとめ,気象データのとりまとめに注力し,泥炭干潟内部の環境により焦点を移して取り組んでゆく予定である.また,新規予算の獲得および論文発表に注力する.
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Causes of Carryover |
炭素年代分析の時期が次年度にずれ込んだため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
炭素年代分析に使用したい.
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