2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26303018
|
Research Institution | Institute of Technologists |
Principal Investigator |
林 英昭 ものつくり大学, 技能工芸学部, 講師 (70409671)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 建築歴史・意匠 / 東洋建築 / ベトナム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はベトナム中部に所在するディンと称される大規模木造建築について設計技術の特質を具体的に明らかにすることを目指すものである.既往の調査研究に加え,規模の面で阮朝宮殿建築に類する大規模木造建築であるディンの実測により,宮殿,ディン,伝統家屋の三種の建築の設計技法が比較可能となる.これによりベトナム中部の伝統木造建築の設計技法に関する知見の総合的な整理を目指している.補助事業期間4年間に遺構の実測調査および歴史・村落調査を「23件程度」実施する計画である. 本年度は,調査遺構の選定作業の補足作業とベトナム中部のディンの実測調査および村落調査を実施した.調査遺構の選定については,調査候補の不足している地域を中心に新たに計35箇所の村落を訪問し,新たに7件の調査候補を加えることとした.2年間で合計131箇所の村落を訪問したことになる.ディンの実測調査および村落調査については計12棟を実施した.実測調査は基礎的な配置図・平面図・立面図・断面図の作成のほか,柱径,柱高さ,横架材および登り梁の断面形状・寸法を詳細に実測することに努め,概ね当初計画通りの情報を確保し得た.村落調査については,各村落で共通の項目について情報が得られるように努め,人口・地勢・産業・歴史等の村落の概要のほか,ディンを中心とした祭祀等についても聞き取りを進め,村落内でのディンの位置づけの解明を目指す.現地協力者とともに各村落の首長等への聞き取りを実施,合わせて地図資料および村落内の歴史史料の探索も行った.調査件数は2年間で合計17件となった.当初計画の件数の過半を超えており,研究計画を順調に遂行することができている.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査対象の選定については依然として一部に調査候補が無い地域が生じている.この問題は次年度以降も引き続き探索を続けることで解消していく.一方で本事業の主部である実測調査および村落構造調査については17件を終え,既に目標件数23件の過半を大きく超えている.全体の達成度としては,おおむね計画通りに進展していると言える.
|
Strategy for Future Research Activity |
現在までのところ,顕著な問題点は発生しておらず,順調に研究計画を進めている.ただし調査対象の選定については,十分な数の候補が確保できている一方で,一部に対象遺構が無い地域が存在する.引き続き探索を続ける必要がある.
|
Causes of Carryover |
急速な円安の進行と同時にベトナム国内での物価の高騰が顕著であるため,調査委託費等の高騰に備え,設備備品に関して初年度より購入を見込んでいたPC,CADソフトウェア,携帯型レーザー測量器の購入を見合わせている.また旅費に関して研究協力者の滞在日程が当初予定より延べ10人日程度減じた.主にこの2点により次年度使用額が生じた.
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
円安・物価上昇の進展状況を見て,次年度の設備備品の購入費,調査委託費および海外旅費へ充当する
|