2016 Fiscal Year Annual Research Report
狭小域分布性固有種を多数含む大陸部動物相から大陸における固有種創出の普遍則を探る
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26304009
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
押田 龍夫 帯広畜産大学, 畜産学部, 教授 (50374765)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠藤 秀紀 東京大学, 学内共同利用施設等, 教授 (30249908)
本川 雅治 京都大学, 学内共同利用施設等, 教授 (30293939)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 地理的障壁 / ベトナムリス / イラワジリス |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度においてはベトナムおよびミャンマーで小型哺乳類の捕獲プロジェクトを実施した。地上性および樹上性の齧歯類などに加え、飛翔性のコウモリ類についても調査を試みた。 ベトナムにおいては、ベトナム北部の固有種であるベトナムリス(タイワンリス属)を2ヶ所の異なる地域から採集することに成功した(昨年度と併せて本種の採集地点は8ヶ所となった)。これらの頭骨標本および毛皮剥製標本はベトナムの生態生物資源研究機関(ハノイ)にて保存・管理されている。これらのサンプルからは既にDNAを抽出しており、今年度分子系統地理学的解析を実施する計画である。また、本研究で使用するタイワンリス類と比較する目的でベトナム南部の島嶼環境等から同属他種のリス類を採集した。これらのDNA塩基配列を併せて分析予定である(これらはインドシナ半島におけるリス類の種多様性評価の基礎データとして活用する予定である)。 ミャンマーにおいては、中部においてイラワジリスの採集に成功した。これらのサンプルから得られたDNA塩基配列を現在解析中である。本種の系統学的位置については、これまでに研究が為されておらず、今後、分子系統学的手法を用いて詳細に検討する計画である。特に、イラワジ川による本種への地理的分断効果を検証し、インドシナ半島全域を睨んだタイワンリス属の進化的歴史を明らかにすることを考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ミャンマー、ベトナムにおいて固有哺乳類種を捕獲し、これらを本研究に使用することが出来たが、そのサンプル数および捕獲地点数は当初の計画より少ないものであった。これは2年前に突如生じた円安(1ドル=100円→1ドル=120円)になったことに起因するが、リス類等を短期間で捕獲することの難しさも原因である。解析に使用出来るある程度のサンプルを得ることが出来たが、今年度末まで捕獲作業を実施したため、DNA塩基配列の分析作業がまだ終了していない。今年度はDNA塩基配列の解析のみを集中して実施する計画である。
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Strategy for Future Research Activity |
3年間を通して残念ながら最初に見積った十分なサンプルを得ることは出来なかったが、現在解析中のデータで論文を3編国際誌に準備中である。本研究課題は昨年度で終了したが、機会があれば今後もベトナム、ミャンマーにおいて固有の小型哺乳類(齧歯類・トガリネズミ類・コウモリ類)の採集活動を継続する予定である。そして、今回準備中の論文データの補強を将来的に実施したいと考えている。
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Causes of Carryover |
3年間の研究期間中に収集した小型哺乳類(リス類等)のサンプル数であるが、平成29年2月時点において十分なものとは言い難く、このため3月終わりまでを採集期間と定め、サンプル採集により多くの時間を費やすことにした。動物の捕獲は常に当初の見積り通り成果を挙げられるものではなく、十分に努力をしたにもかかわらず結果は不十分なものとなってしまった。この様な事情でサンプル採集に年度末まで時間を費やしたため、これらを用いた次のステップであるDNA塩基配列の解析等の実験が進行していない。学会発表および論文発表についてもまだ出来ていない状況である。これらを最後まで敢行すべく、必要最少限の金額を次年度使用額として計上した次第である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
これまで採集に成功したリス類等の小型哺乳類についてDNA塩基配列を用いて分子系統学的および分子系統地理学的解析を実施する。これらの成果に基づいて論文3編を国際雑誌に投稿予定である。このため、DNA分析用試薬の購入およびシーケンス委託等に本金額を使用する計画である。
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Research Products
(4 results)