2016 Fiscal Year Annual Research Report
南西太平洋島嶼における間隙性動物相の解明と現在時間の砂浜環境記録の必要性
Project/Area Number |
26304011
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
塚越 哲 静岡大学, 理学部, 教授 (90212050)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 敏彦 独立行政法人国立科学博物館, その他部局等, その他 (70222263)
佐々木 猛智 東京大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (70313195)
柁原 宏 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (30360895)
中尾 有利子 日本大学, 文理学部, 助教 (00373001)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 間隙性生物 / 西太平洋 / 生物多様性 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年10月23日から10月30日の日程で,マレーシアでの調査が行われた.前半はアンダマン海側に位置するランカウイ島(Panteri Penarak,Kilim,Taman Legenda,Taman Legenda,Kleine Sandbucht),後半は太平洋側に位置するペナン島(Taman Pantai Batu,Pantai Pasir Panjang,Sungai Tukun)で採集が行われ,計8地点より14サンプルの間隙性生物の試料採集を行った.調査は現地学生も含め10名からなるパーティーで行動した. 研究代表者が担当する貝形虫類については,遺骸個体を含めて,現時点で19属24種が確認されており,今後の分析によってその種多様性はさらに高くなることが予想される.他の分類群(棘皮動物,動噴動物,軟体動物,節足動物・ダニ類,紐形動物)については分担研究者からの結果を待っており,集約次第ウェブ上で公開する. カウンターパートとして,マレーシア科学大学(Universiti Sains Malaysia)のZulfigar Yasin教授,Aileen Tan Shau Hwai準教授を迎え,学生アルバイトや保存用アルコールの調達など,多くの便宜を得た.また現在北海道大学大学院生のWoo Sau Pinn 氏(マレーシア国籍)がツアーガイドを担当し,極めて円滑に効率よく調査を行うことができた.調査終了後,ABS問題を踏まえ,また今後の研究の活性化を目指してマレーシア科学大学と静岡大学理学部間でMOUを締結する意向で準備が進んでいる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度(平成26年度)は,ベトナム南部および北部,2年目(平成27年度)はグアム島およびサイパン島,3年目はマレーシアと大過なく順調に調査を重ねることができた.まだ論文化には至っていないものが多いが,未記載種の発見をはじめ多くの間隙生物に関する種多様性の実態が明らかにされつつある.また現場の環境条件等のデータも集積が進んでおり,専用ホームページも開設することができた.またABS問題を視野に入れた相手国との対応関係も進んでいるため,全体的にみて順調に進んでいるといってよい.ただ,申請時の立案に比べ,予算の減額,円安の進行等によって調査規模,地域の縮小を余儀なくされている点はある.
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Strategy for Future Research Activity |
メンバー(研究分担者,連携研究者,大学院生等)全体の動きとして,平成29年度のフィールドとしては,パラオ(Palau)を想定している.元来台風の影響がほとんどない島嶼であるが,比較的降雨量が多い7月と11月を避け,メンバーと協議の上調査時期を決定する.期間は7日間程度を予定している.パラオ最大の島であるバベルダオル島を中心にコロール島,マラカル島での調査を予定している.現地の日本人の経営するダイビングショップに知己のあるメンバーがいることから,予め調査にふさわしい海岸の選定などを綿密に行う予定である. これまで対象とする調査環境を潮間帯としてきたが,本研究を通じて間隙性生物の起源は,粗粒堆積物を伴う潮下帯環境にあることが明らかになってきたため,潮間帯よりも水深のある潮下帯もターゲットとして試料採集を行う予定である. 最終年度として,これまで行ったベトナム南北沿岸,グアム・サイパン島,マレーシア沿岸で得られた情報を集約する.集約は個々人の実績を中心にすでに創設したウェブサイト<http://earth.jpn.org/world-interstitial-db/>上に掲載する.また,これまでの実績を各種学会,シンポジウムなどで報告を行う. 本研究成果を踏まえて,新たな海外学術調査の計画を作成し,平成30年度からの応募を行う予定である.
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Research Products
(6 results)