2017 Fiscal Year Annual Research Report
南西太平洋島嶼における間隙性動物相の解明と現在時間の砂浜環境記録の必要性
Project/Area Number |
26304011
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
塚越 哲 静岡大学, 理学部, 教授 (90212050)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中尾 有利子 日本大学, 文理学部, 助教 (00373001)
柁原 宏 北海道大学, 理学研究院, 准教授 (30360895)
藤田 敏彦 独立行政法人国立科学博物館, 動物研究部, グループ長 (70222263)
佐々木 猛智 東京大学, 総合研究博物館, 准教授 (70313195)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 間隙性生物 / 西太平洋 / 生物多様性 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年12月13日~同月19日にかけて,パラオ共和国において間隙性生物の調査を行った.調査に先立ち,パラオ国際サンゴ礁センターと連携して採集許可,輸出許可をとり,現地での法的措置をクリアした.パラオ共和国にある多くの島嶼のうち,最大面積の島であるBabeldaob島を中心に調査を行った.調査地はMelekeok,Olterukl,Raelkelatの3地点であるが,いずれも周囲に様々な微環境をもつため,多様な環境下から多くのメイオ生物の採集を行うことができた. 3地点からはこれまでに,貝形虫類,橈脚類,クモ形類,多毛類,線虫類,紐形類,棘皮動物等の産出がメンバーから報告されている.第一印象では,同じ島嶼であり,平成27年度に調査を行ったグアムおよびサイパン島よりも環境汚染が少なく,メイオ生物が多様であるとの感触を得た.研究代表者の専門である貝形虫類では,これまでにAnchistolocheles属,Neoneshidea属,Pussella属,Xestoleberis属,Paladoxostoma属,Loxoconcha属,Aulira属,Ishizakiella?属,Microloxoconcha属等を確認でき,その中には多くの未記載種を含むことが示唆された.また,貝形虫類相全体としては,グアム・サイパンのそれと共通性が高いことが認められ,さらに日本の沖縄の貝形虫類相よりも,オーストラリアのそれに比較的共通性が高いことが示唆された. また,研究分担者が担当している紐形動物,棘皮動物,軟体動物等についても未記載種が確認され,分子系統解析と並行しながら,順次学会の大会や専門誌上に公開してゆく準備を進めている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
最終年度における調査(パラオ共和国)が12月に行われたため,サンプル処理等を終えて一定の結果が出るまで年度をまたいでしまったが,その他は概ね計画通りに進展している.それぞれの分担者においても,ほぼ同様である. 微小な生物であるため,平成29年度分の調査についての論文化には今少し時間がかかるが,学会発表等は順次行い,その成果を公表してゆく.平成29年度以前に行ったベトナム,グアム,マレーシア,パラオにおける調査の成果についても,研究分担者や調査同行者から順次記載論文が発表されており,おおむね順調であるといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究において,西太平洋地域における間隙生物を中心としたメイオ生物について,概要をつかむことができた.特に日本周辺の沿岸性メイオ生物については,その起源が沖縄より南,台湾からベトナムにかけての海域にあることが強く示唆された.またその地域はメイオ生物のホットスポット的な地域と言っていいほど,沿岸生物の種多様性が高いことが示唆された. 本課題研究から得られたこのような新たな知見に基づき,平成30年度から4年間を研究期間として,国際共同研究強化(B)「ベトナム沿岸部におけるメイオ生物相の解明と現地における教育普及活動の試み」の申請に至った.ここではメンバー(研究分担者)を大幅に入れ替え,若手研究者を中心とした研究グループとした.本研究課題をさらに包括的なメイオ生物の調査に発展させ,同時に相手国との人的交流,次世代への継承を行いながら発展させてゆきたいと考えている.
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Causes of Carryover |
最終年度海外調査の実施が,研究メンバーと海外カウンターパートの関係から12月中旬に実施されたた.そのため,試料の分析や研究成果の公表に要する時間が,年度内に収まらない事から,研究機関の延長を行った.生じた予算は,研究成果公表のための旅費,海外研究者招聘旅費に用いる予定である.
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