2015 Fiscal Year Annual Research Report
熱帯林の二次林化が落葉分解過程に与える影響:機能形質と環境要因の気候依存性
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26304015
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
黒川 紘子 国立研究開発法人 森林総合研究所, 森林植生研究領域, 主任研究員 (70515733)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中静 透 東北大学, 生命科学研究科, 教授 (00281105)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 熱帯林 / 生態系機能 / 機能形質 / 撹乱応答 / 森林劣化 |
Outline of Annual Research Achievements |
落葉分解過程は森林生態系の重要なプロセスであり、群集の機能形質の構造や物理環境に強く影響される。東南アジア熱帯林の生態系機能を広域で評価するためには、湿潤-乾燥という気候傾度に加え、二次林化による群集の形質構造と物理環境の変化が落葉分解に影響するメカニズムの包括的な解明が必要である。この研究では、1)湿潤熱帯林では二次林化に伴う光獲得競争の激化に応答し、成長速度が速く分解しやすい落葉を生産する種が増えるため、落葉分解は促進される2)乾燥熱帯林では二次林化に伴う乾燥ストレスの増加に応答し、乾燥耐性が高く分解しにくい落葉を生産する種が増えるため、落葉分解は抑制される、という2つの仮説を、二次林化に伴う物理環境変化の影響も考慮して検証することを目的とした。 平成27年は、湿潤-乾燥傾度に沿ったタイ半島部カオチョン、タイ東部トラット、タイ中部サケラート、タイ西部メクロンの4カ所で落葉分解実験対象種の落葉収集を終了し、5月に各調査地で約20種の落葉を用いた分解実験を開始した。また、8月に各調査地で土壌特性の測定を行い、特に土壌の栄養塩循環に関わる部分の結果を投稿論文原稿にまとめた。地温や落葉生産量の調査は継続的に行っており、リターバッグの回収も3ヶ月後(9月)、6ヶ月後(12月)に予定通り行った。平成28年3月には予定通り各調査地の群集の機能構造に関する結果をまとめ、成果を学会で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
申請当初、平成27年秋から平成28年秋までに行うことを予定していた落葉分解実験を、落葉の収集が順調に行き、平成27年6月から平成28年5月に前倒しできたため。また、8月に各調査地で行った土壌特性測定の一部の結果を予定より早く論文原稿としてまとめられたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、平成28年5月に落葉分解実験を終了し、各種各調査地における落葉分解速度の推定とそれに関わる環境要因を明らかにする。また、二次林化に伴う形質構造変化と物理環境変化の気候依存性についての成果や落葉分解速度に樹木の形質と物理環境が与える影響についての成果を論文化し、学会等で発表する予定である。
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Causes of Carryover |
調査対象地であるタイにおいて、研究協力者のMarodカセサート大学准教授らの協力により、現地調査が予定よりも短時間で効率的に完了したため、それにかかる予算を次年度に使用することとした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度は平成28年5月に落葉分解実験を終了し、各種各調査地における落葉分解速度の推定とそれに関わる環境要因を解析する。各成果を論文化する際の英文校閲料や論文掲載料として使用する。
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Research Products
(4 results)