2015 Fiscal Year Annual Research Report
開発途上国の農業大学における課題解決型の教育・研究体制の構築に関する実践研究
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26304032
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
伊藤 香純 名古屋大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (10467334)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山内 章 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (30230303)
川北 一人 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (90186065)
浜野 充 信州大学, 農学部, 講師 (30626586)
田中 利治 名古屋大学, 学内共同利用施設等, 教授 (30227152)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | カンボジア / 農業大学 / 実践的研究 / 実践的教育 / 課題解決型 |
Outline of Annual Research Achievements |
開発途上国において、主要産業である農業分野の牽引者を育成するのが農業大学であり、実学としての農学教育が求められている。しかし、農業大学に対する教育協力の多くは、系統学習を前提としたカリキュラム策定や実験資機材の供与であり、最も重要な役割である「自国農業の問題把握と、その解決に向けた教育・研究の推進」という視点は重視されてこなかった。本研究では、カンボジア国の農業大学との協働により、同国における農業問題の把握と解決に取り組むことで、農業の現場を活用した実学教育の機会を同大学の教員・学生に提供し、その教育効果に関する定性的・定量的な評価結果に基づいて、課題解決力を育む教育協力の方法を見出す。 ①実践的教育・研究の試行 食品加工および畜産分野において、実験・実習やフィールド調査を用いた教育・研究活動を試行した。食品加工分野においては、伝統的なコメ蒸留酒の生産に関するフィールド調査や、商品化に向けた賞味期限の設定に伴う実験・実習の準備を実施し、カンボジアにおいて問題視されている色の安全という課題解決に貢献する教育・研究活動の試行が達成された。来年度は、本研究にて実践した実習・実験のカリキュラム化を目指す。 ②効果の計測・評価に関するデータ収集 本研究の実施前後におけるRUA 教員・学生の変化について計測・評価するため、実習・実験の前後に教員・学生に対するアンケート調査を実施した。また、カンボジア国内の農学教育に関する実態を把握するため、実践を行っている王立農業大学以外の農業大学および総合大学内の農学部に対して、実践的な教育・研究への取り組み状況についてインタビュー調査を行った。その結果から、調査したいずれの大学においても実験・実習のコマ数が少なく、殆どの学習が座学によって行われている実態が明らかとなり、王立農業大学における実践が同国の他大学にも応用できる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
実践研究の実施大学において、カリキュラム改革が実施され、教育における実習の試行が遅れたため。
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Strategy for Future Research Activity |
①実践的研究・教育の試行 各研究分野において実習やフィールド調査を活用した実践的教育・研究の試行を継続する。その成果について数値化・分析を行い、開発途上国の農業大学に対する効果・効率的な教育協力の方法について分析を行う。 ②農業教育全般における現状・課題を見出す 昨年度に引き続き、農業大学・農学部における教育の実情と課題を明らかにするための調査を実施する。各大学・学部の代表者に対して半構造化インタビューを実施する。 ③研究成果のとりまとめ 実験・実習に関する手引きを取りまとめる。また各種結果に基づいてRUA における望ましい教育・研究体制について提言をまとめる。また、各研究分野における実践研究の成果を踏まえて、課題解決型の研究・教育の他大学や他国への汎用性と限界について分析を行う。
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Causes of Carryover |
研究対象大学においてカリキュラム改革が実施され、講義担当者の変更などの影響により計画されていた実習・フィールド計画が延期されることとなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
各研究分野において実習やフィールド調査を活用した実践的教育・研究の試行を継続する。その成果について数値化・分析を行い、開発途上国の農業大学に対する効果・効率的な教育協力の方法について分析を行う。 昨年度に引き続き、農業大学・農学部における教育の実情と課題を明らかにするための調査を実施する。各大学・学部の代表者に対して半構造化インタビューを実施する。また実験・実習に関する手引きを取りまとめる。また各種結果に基づいてRUA における望ましい教育・研究体制について提言をまとめる。さらに、各研究分野における実践研究の成果を踏まえて、課題解決型の研究・教育の他大学や他国への汎用性と限界について分析を行う。
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Research Products
(2 results)